どうもこんにちは、PM の勝田です。
この記事は、estie PM Blog Week 6日目の記事です。estie の PM が持ち回りでブログを書いています。<< 前回の記事はこちら>>
今日は私が担当している estie レジリサーチで爆発的な売上成長を実現した裏側についてお話ししたいと思います!
はじめに
私は estie レジリサーチという住宅領域向けの DaaS ( Data as a Service ) の PM を担当しています。
このプロダクトのすごさや面白さは
いよいよ、住宅領域をやってくぞ - estie inside blogにて存分に語っていますので、このブログを読み終えた後にぜひご一読ください!
estie レジリサーチは β版として 2024年 4月頃から営業をはじめ、10月に正式ローンチしたものです。そのうち特に 7~12月の売上の伸び方は手前味噌ながらすごいものがありました。
開発と営業が密接に連携し、顧客の期待に応えるだけでなくそれを超え、結果としてプロダクトが進化し、それがまた別の顧客に刺さるといったポジティブフィードバックサイクルがぐるんぐるん回るプロセスを体感できました。
本日はそのときなにを考え、なにをしてきたのかをぜひシェアできればと思います。
なにをしたのか
直近のレジリサーチユニットは、超短期 x 特定顧客向け開発にあえて特化しました。
具体的には、
- 2024年下半期の売上に寄与する開発に特化する
- 特定顧客の商談を前に進めるために必要な開発に特化する
ということをやりました。
1点目については非常にわかりやすく、商談が2025年にまたがりそう = 長期化しそうな顧客の要望に応える優先度は意図的に下げるという判断軸でユニットを運営していました。
大事なのは 2点目です。これは、営業が顧客と商談を行った際にもらってきた要望にひたすら応えていくというわけではありません。重要なポイントは、顧客側の担当者が本気で estie レジリサーチを導入したいと思っているライトパーソンかどうかです。
商談時にプロダクトのデモをするとありがたいことに様々な要望やご期待をいただきます。それら全てに応えるにはリソースが足りません。そこで、この業務でこう使いたい、この人たちに使ってもらったら組織の生産性が上がるということを具体的にイメージできている人からの要望に絞って応えるのです。
B2B プロダクトの PRD (企画書) を 5W1H で整理する際に、WHO の設定が最重要だという持論を持っていますが、
今回の超短期 x 特定顧客向け開発を通じて、それに加えてライトパーソンを見極められるかどうかが重要だと強く実感を持ちました。
ライトパーソン特定は商談スピードや成約率といった営業側での効用だけでなく、立ち上げフェーズのプロダクトの進化のスピードも大きく変わるという点でプロダクト開発にも影響を与える重要な要素だという学びでした。
PM としては、顧客の声を聞きすぎてはいけない、再現性や横展開性があるかを見極めなければいけないといった葛藤が最初はゼロではなかったのですが、短期間かつ特定顧客にフォーカスする開発に振り切ったことが結果的にはプロダクトを正しい方向に進化させベストプラクティスを生み出せたのではないかと考えています。
営業と開発はどんな連携をしたのか
ライトパーソンを見つけそれに応えていくにあたり、社内の営業と開発がいかに密接に連携できるかが重要になります。
組織やメンバーの熟練度や当事者意識が高いという前提はありつつも、各自が自身の役割を少しずつオーバーラップし合うことで営業と開発の密接な連携が実現できたと思います。連携を狙ったというよりも、結果として連携したようなかたちでした。
前提として我々の組織構成は、
- レジユニット…ユニットリーダー, PM, デザインエンジニア, ソフトウェアエンジニアで構成
- 営業…営業メンバーで構成
となっており、営業はレジ以外のオフィスや物流といった 10個以上あるプロダクトのどれを売っても良い状態です。estie レジリサーチだけを売る営業というのは存在しません。
その上で、
- ユニットリーダー…営業をサポートするというよりも自らが最も売る勢いで営業にフルフォーカス。レジユニットの朝会ではなく営業の朝会に毎日参加し商談状況を細かく把握。
- PM…ユニットリーダーが行けない場合や渾身のデモが必要なときは積極的に商談へ行く。商談で得た気づきは即座にスプリントに積む。
- エンジニア…コストが一定サイズ以下であれば PM の判断を待たずリリースまで一気に完結させる。
- 営業…議事録をタイムリーに共有。商談から帰社したあとオフィス内の雑談で顧客の反応や要望・相談を積極的にシェア。
というかたちで、各々が自然とオーバーラップする動きが生まれていきました。
当たり前のように見えるかもしれませんが、組織の全員がこれを実現できている状態は組織としての柔軟性や突破力が段違いに上がり非常に強いモメンタムを生むと学びました。
なにが起きたか?
売上が急激に伸び垂直立ち上げとなったことはあくまでも結果論です。そのプロセスとして組織モメンタムが上がった点が特徴的だったと思います。
モメンタムがあれば大抵のことは乗り越えられますので、スタートアップや立ち上げ初期のプロダクトにおいてはモメンタムが全てだと思うくらい重要な要素だと捉えています。
ではレジユニットにおいて具体的にどのようなことが起きたかというと、
- 複数のライトパーソンの要求に応え続けるだけで売上目標を達成できるのか?という問いをチーム全員で議論する
- エンジニアが議事録を読み簡単にできそうなものは即座に実装 ( PM の判断を挟まない)
- 次の商談がいつかを確認し、そこに間に合うよう逆算して商談日ドリブンで実装スケジュールを組み立てる
- 要求に不明瞭な点があれば即座にライトパーソンに電話で聞いて解消する
といったことが自然発生しました。
どうやって再現できるか
立ち上げフェーズのプロダクトであれば、その商品だけを営業する専属担当者を設け、PM や開発チームと一体になって動くことでモメンタムが生まれやすくなると実感できました。
これを再現するために初期から専属営業を設けることになりますが、初期プロダクトを売れる営業が誰なのかを予め見立てることは難しいので、誰もが何でも売れる状態にはしつつ、特定商品をよく売っている営業を見極めチームに巻き込んでいくような動きを取ることが実効性のある再現方法かなと思います。
また、事業進捗の数字や議事録など客観的なものを全員で同じものを見て、会話することも重要です。スクラムゴール設定でも特定顧客の◯◯さんとの商談がある◯月◯日までに間に合わせる、といったものもよく設定していました。
おまけ
ここまでお話ししてきた取り組みの副産物として、本当の意味で顧客第一という姿勢を実現できたことがあるのではないかと思っています。
マーケティングの基本的な概念として 3C (市場、顧客、競合) があります。これらは全てが重要です。前職では競合対策開発をよくやっていた身としては競合戦略も重視しています。
今回の取り組みを通じて、1週間後のライトパーソンとの商談までに間に合わせることにフォーカスしきることが、結果的に競合や市場のことを視野から外すという体験ができました。
Amazon の創業者であるジェフ・ベゾスが「競合を見るな。顧客の方を見ろ」という名言を残していますが、少しだけその意味ややり方がわかったような気がしました (言いすぎかもしれない)
おわりに
estieでは、一緒にプロダクトや事業を作る人を募集しています。興味がありましたら、カジュアルからお話ししましょう!
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