ユーザー行動ログと向き合う技術


この記事は、estieのプロダクトマネージャーによるブログシリーズ「PM Blog Week」第3弾 1日目の記事です。
(過去の PM Blog Week の記事は こちら

こんにちは。プロダクトマネージャーのyuiです。

突然ですが、みなさんはプロダクト上のユーザー行動とどのように向き合っていますか?
この記事では、最近私がユーザー行動ログに向き合い小さなカイゼンに取り組んだ話をします。

ユーザーの行動ログを気にするようになったきっかけ

昨年の11月に担当しているプロダクトをローンチしました。
(プレスリリースはこちら: J-REIT物件情報の横断検索ができる「estie J-REIT」無料プラン提供開始 | 株式会社estieのプレスリリース

このプロダクトはestieのプロダクト群の中で唯一フリーミアムモデルを採用しており、個人でも無料かつオンライン登録のみでご利用いただけるサービスになっています。

ローンチ直後は登録していただいたユーザーの属性や流入経路、日次・月次のアカウント増加数など入口の方に興味が向いており、正直利用ログを気にかけることができていませんでした。

リリースして数週間、数ヶ月が経ち、ユーザーの利用傾向を見ていくと、さらに定着率やアクティブ率を向上させる余地があることに気づき、初めて利用後のユーザーの行動に目を向けるようになりました。

そこで、登録後一度しかログインしていないユーザーや、利用開始直後早いタイミングで離脱しているユーザーの行動を追うと見えてきたものがありました。

ユーザー行動を追うようになって見えてきたもの

1. ユーザー行動に対する無意識の期待と思い込み

担当している estie J-REIT のトップページは以下のようになっています。

estie J-REIT のトップページ

ログイン後、まずはユーザーに任意の検索をしてもらい、検索結果の物件が地図上にプロットされることが起点の設計になっています。

行動ログを追ってみると、初回ログイン後、検索をして地図上に物件をプロットする段階に到達できていない事例が思った以上に発生していることに気づきました。

見られた行動としては、検索をせずに地図上を探索して物件を探している、検索ボックス以外の要素を回遊して機能を探している、などがありました。

ここで初めて、自分はプロダクトの設計や動線を知っているので無意識のうちに「当然この行動をとってもらえるだろう」と思い込んでしまい、ユーザーフレンドリーではない初期画面を作ってしまっていたことに気がつきました。

2. 一度はつまずくサインアップ画面

他にもさまざまなログを追うようになって、サインアップ画面の離脱率が一般的な平均値よりも高いことに気がつきました。

そこでサインアップ時のログやエラーを追ってみると、パスワード入力のタイミングでほぼ必ずバリデーションエラーが発生していることに気がつきました。

設定するパスワードには長さや文字の組み合わせなどの条件を設定しているのですが、初見でその条件を認識できる設計にできていなかったことが明らかな原因でした。

ログでの発見を活かした改善

1. プロダクトの初回利用時のガイド設定

「検索条件を入力して地図上に物件をプロットする」という期待する行動に対して、そもそも検索ボックスに集中できる画面になっていない、最初に検索の操作が必要であることを訴求できていないことから、はじめてプロダクトを利用するユーザーには操作ガイドを表示し、期待する行動を促すようにしました。

ガイド設置後、新規ユーザーが何のアクションも起こさずにプロダクトから離れることが減り、地図上に物件をプロットできる事例が大幅に増えました🎉

2. サインアップ画面のパスワードフォーム改善

サインアップ画面のパスワード入力では、パスワード入力フォームにフォーカスが当たった時点で入力条件を表示し、さらにユーザーの入力に合わせて条件に合致しているかどうかがインタラクティブにわかるモーダルを用意しました。

このモーダルの導入後、パスワード入力時のエラーがほとんどなくなり、パスワード入力のタイミングでの離脱を減らすことができました🎉

ちなみにこれは私の功績ではなく、チームのデザイナーに「パスワード入力わかりやすくしたいんですよね〜」と雑に投げかけたら爆速で提案・実装してくれたものです。最高です。

学んだこと

ユーザー行動ログと向き合うようになって、自分の無意識の思い込みや、初めてプロダクト画面を見たときのユーザーの行動など、ログは意外なことに気づかせてくれることを学びました。

セルフオンボーディングを必要とするプロダクトであることから、どちらかというとtoC的なアプローチの文脈になりましたが、toBであってもすべてのユーザーにハイタッチなオンボーディング、サポートを実現するのはなかなか難しいと思います。

プロダクトの価値を最大限届けるために、引き続きユーザー体験に真摯に向き合っていきたいと思います。

PM Meetup やります!

estie で定期開催しているプロダクトマネージャー向けのイベント、estie PM Meetup の第5回を2025年4月8日(火)に開催します!

estie.connpass.com

イベント後半では懇親会も予定しています。
ブログを読んでestieのメンバーと話してみたいと思った方、プロダクトマネジメントの学びをもっと得たいと思った方はぜひご参加ください。

皆様とお会いできるのを楽しみにしています!

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