こんにちは、プロダクトマネージャーの齋藤 @shisaitoです。
今日は「私がどのような経緯でシニアPMになったのか」というテーマで、これまでのキャリアを振り返ってみたいと思います。
この記事は、estieのプロダクトマネージャーによるブログシリーズ「PM Blog Week」第3弾6日目の記事です。<<前回の記事エンジニアのための事業計画の読み方ススメ - estie inside blog>>
シニアPMに至るキャリアの分岐点
私がシニアPM(プロダクトマネージャー)になるまでの分岐点=ターニングポイントは、大きく2つありました。
- 1つ目は、エンジニアから企画職に転向したこと
- 2つ目は、転職によって環境を変えたこと
この2つが私のPMキャリアを形作りました。ここから、シニアPMに至る道を振り返っていきます。
(estieでは、シニアPMという肩書き、タイトルは定義されていませんが、レベルを示す呼称として使われています。また各社によってシニアPMの定義は異なります)
駆け出しエンジニア時代
私の最初のキャリアは、ヤフーの新卒エンジニアとして始まりました。
エンジニアとしてウェブサービスの基礎を学び、サービスの運用から開発、設計へと徐々に上流工程の流れを経験していきました。なぜエンジニアになったかというと、大学で情報学を専攻していたことと、大規模なウェブサービスの裏側はどう作られているのか興味関心があったからです。
1年目は、運用を中心にシステム開発の基礎を学んでいきます。2〜3年目になると、設計やシステム要件を定義する仕事が増えていきます。実装する機能やシステムの要件を決めるためには、ビジネス職や企画職※の方々とコミュニケーションして、仕様を固めていきます。
当時は、プロダクトマネジメントの概念すら意識しておらず、担当サービスの推進を担う開発メンバーでした。
※企画職:当時はプロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャーという職種定義がなかったため、企画職という括りでまとめられ、プロデューサーやディレクター、企画担当と呼ばれていました。
分岐点1:エンジニアから企画職に転向したこと(ジョブチェンジ)
そして、4年目にエンジニアから企画職への転向(ジョブチェンジ)を行いました。転向したきっかけは2つあります。
転向のきっかけ
同期のエンジニアがすごい!
新卒同期のエンジニアにものすごいできる人がいて、一緒に働いてみると卓越したアウトプット、センスを見て、同じ土俵で勝ち続けるのは難しいと感じる瞬間がありました。そのため、自分の得意な領域を伸ばす方向にキャリアシフトしたほうがいいのではと思うようになりました。もっと良いものを作りたい!
プロジェクトを進めるにあたって、設計や機能要件を詰めていくときに、自分ならこうした方がいいなと独自の考えを持つことが多くなり、自分から機能案やラフワイヤーを書いてアイディアを提案することが増えました。やはりコードを書くことよりも、もっとよい企画、プロダクトを作りたいと思う方向に興味関心が移っていきました。
PMレベルを上げていく成長過程
転向後に、コードを書く機会は無くなり、しばらくは企画職の補佐的な役割で並走し、開発とビジネスの橋渡ししていく役割を担いました。開発ディレクターに近いイメージです。そして徐々に幅を広げて経験を積み重ね、企画職として独り立ちしていきます。企画職として、本職であるアイディアやビジネスモデルを考えて、プロジェクトを立ち上げ、必要な関係者と調整を行って、リリースとグロースを繰り返しました。時にはサービスを閉じるという経験もしました。
基本的に、プロジェクトに関わることは何でも対応していく姿勢だったので、ビジネス部門との調整以外にも経理や法務、カスタマーサポート、マーケティングチームなど関係する部門と会話して一つずつ物事を進めていきました。もちろん相手部門と会話するために、必要最低限の知識を教えてもらったり、独学で学ぶことで知らなかった領域でも、ある程度、会話ができる・分かる状態になっていました。
そして経験を積み重ねていくと、PMレベルも自然と上がっていき、プロジェクトリーダーからプロダクトマネージャー、プロダクトオーナーへと段階的に役割も変わっていきました。PMレベルを上げる秘訣は、とにかく場数をこなして、引き出しの数を増やすことがポイントだったと思います。失敗と挑戦を繰り返して成長していきました。結果、ヤフーの企画職として約8年ほど務めました。
企画職という職種の定義も時代とともに変わり、プロダクト企画、事業企画、事業開発など役割が細分化されました。またプロダクトマネジメント・スクラム・アジャイルという単語も徐々に認知されていきました(2010-2015年ごろの話)
分岐点2:転職によって環境を変えたこと
そして次の転機は、転職したことです。(2020年ごろの話)
インターネット中心の世界から、もっとリアルな産業の課題解決をしたいと思い、次の会社に転職しました。ネット印刷で有名なラクスルです。
転職して変わったこと
転職して、会社が変わればMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や事業環境、目標指標などがガラリと変わります。一番大きな違いは、ヤフーが得意としていたデジタルのウェブサービス領域から、印刷工場や物流などリアルな物を扱う世界に変わったことです。リアルな物を扱うことで、ビジネスの難しさ、オペレーションの複雑さが格段に高まります。これが参入障壁となり、優位性として機能していました。
また、大企業は圧倒的なブランド力とユーザ数を背景に比較的ビジネスのレバレッジが効きやすい環境でしたが、ベンチャー企業ではブランド力が十分ではないため、「どのようにユーザにサービスを届け、新機能を認知してもらい、利用拡大させていくか」といったマーケティングも含めたプロダクト戦略がPMに求められました。作ってデリバリーするだけでなく、アウトカムを証明するまで、仮説検証と改善を数多く繰り返していました。
PMレベルを上げていく成長過程
まずは、これまでのPMスキルを活かして、既存プロダクトに向き合い解像度を高めていきます。解像度が上がり、ドメイン知識を獲得したあとは、事業全体の視点でプロダクトマネジメントに取り組んでいきました。事業を伸ばしていくために大きく分けて3つのテーマで取り組み方を考えていました。
プロダクト戦略
- 事業の優位性を活かして、複数の商品(SKU)、複数のプロダクト(ドメイン)を組み合わせ、マルチプロダクトを前提にロードマップや機能開発を考える。
- プロダクトを作る(立ち上げ)、伸ばす(グロース)、磨く(粗利率やオペレーション改善)の型を使い分けて考える。
- 事業の優位性を活かして、複数の商品(SKU)、複数のプロダクト(ドメイン)を組み合わせ、マルチプロダクトを前提にロードマップや機能開発を考える。
ユーザ体験
- 使いやすく、買い回りしやすくなるようにデザインやユーザが使う機能を共通化していく。学習コストゼロで使えるようにする。同じデータを複数プロダクトで活用する。
- 使いやすく、買い回りしやすくなるようにデザインやユーザが使う機能を共通化していく。学習コストゼロで使えるようにする。同じデータを複数プロダクトで活用する。
開発者体験
- 開発効率を上げるため、機能や基盤をプラットフォーム化していく。同じものを各プロダクトで作らないようにし共通化し、メンテナンスコストを下げる。そして素早く作って試す。
- 開発効率を上げるため、機能や基盤をプラットフォーム化していく。同じものを各プロダクトで作らないようにし共通化し、メンテナンスコストを下げる。そして素早く作って試す。
横断的な課題が増えていくと、ビジネス、プロダクト、オペレーションの連携を密に進める必要がありました。例えば「共通機能をリリースしていく場合ユーザ影響が出ないようにするにはどうするか?どのプロダクトから対応していくと影響が少ないか?いつのタイミングで開発計画に組み込んでもらうか?」など、プロダクト全体を考慮しながら、プロダクトマネージャー間で会話していくことが多くなります。
プロダクト単体で考えるのではなく、事業全体の価値最大化を考えて、複数プロダクトを統合的に推進していくことで、自分自身のプロダクトマネジメント能力を磨く経験ができました。
そして数年後、次のチャレンジとして、estieに転職し、現在に至ります。
まとめ
最後に今回のまとめです。私のキャリアの分岐点は2つありました。
1つ目の分岐点「エンジニアから企画職へ転向」では、エンジニアバックグラウンドを活かしつつ、PMとして必要な基礎スキル(プロダクト開発、プロジェクト推進、ビジネス、法務など)を身につけ、経験を積み、プロダクトマネージャーとして活躍できるようになりました。
2つ目の分岐点「転職によって環境を変えたこと」では、前職で得たスキルを活かしつつ、さらに専門知識を獲得しながら、担当プロダクトを成長させながら、横断的なテーマにチャレンジし、事業全体や複数プロダクトを広い視点でプロダクトマネジメントしていく経験ができました。
個人的に、シニアPMに至るには、ハードスキルやソフトスキルも重要ですが、まずはPMとして「場数を踏むこと」「熱量をもって前に進める努力を続けること」「常に変化を受け入れ、適応していくこと」が大切だと思っています。変化しなければ生き残れない環境で戦ってきた結果、シニアPMとしての役割を果たせる状態になったと思います。
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