この記事は、estieのプロダクトマネージャーによるブログシリーズ「PM Blog Week」第3弾7日目の記事です。<<前回の記事
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スタートアップでキャリアを重ねる意義とは?
estieは数あるスタートアップの一つと言えますが、皆様はスタートアップで働くことについてどのようなイメージを持っているでしょうか?「自由に働ける」「裁量を持てる」「意思決定が早い」総じて「働きやすい」イメージでしょうか。
一方で、「スタートアップはイケてる」といった単純な図式はもはや崩れているのではないでしょうか。昨今の不安定な状況の中で、大企業やメガベンチャーの安定した事業運営を魅力的に感じる方も多くなっているのではと思います。
このような状況の中で、スタートアップでキャリアを重ねる意義とは何なのでしょうか。
個人的な話ではありますが、私はデータの専門家としてメガベンチャー、日本の大企業、そして複数のスタートアップで仕事をしていました。そんな中で考えてきたこの問いをブログにしてみたいと思います。
メガベンチャー・大企業での私の反省
メガベンチャー・大企業では、自分の専門性を深め、与えられた役割の中で成果を出すことが求められていました。私の場合はデータ分析・データマネジメントなどですが、他の例で言えばプロダクト開発、マーケティング、事業戦略などそれぞれの職能ごとに明確な責任範囲があり、そこで成果を出すことが評価につながっていました。
自分の領域に集中して専門性を磨くことは充実感もありましたし、企業としても効率的な役割分担ができていたと思います。一方で「自分の仕事がどのように会社の成長につながるのか?」という問いを真に自覚的に考えていたかというと、残念ながらそうではありませんでした。これは私が精神的にジュニアであり、かつ経営レイヤーではなかったという点もありますし、会社が安定的に売上および利益を創出していたため「私が考えなくてもよかった」ことも理由だと思います。
もちろんメガベンチャーや大企業においても会社の成功を強く思考していらっしゃる方々も沢山おられます。単に私の力がなかったという反省の弁です。
スタートアップでの考え方の変化
そんな私ですが、スタートアップに移ってしばらくして考えが大きく変わりました。というよりは変えざるを得ませんでした。
一言でいうと、「会社の自分ゴト化」です。そんなのあたりまえじゃん、と思われると思いますが、スタートアップでは良くも悪くもリアルです。
そのきっかけとしては、スタートアップキャリアの初期で経験した失敗があります。当時は専門家として社内のデータ活用の枠組みを整えていました。しかしあるマクロな要因により会社の計画達成が危ぶまれる事態になりました。そのような時、私は自分で能動的に売上を作るモードに切り替えられず、相変わらず自身の役割に閉じこもっていたように思います。今考えると会社の成功から逆算して発想・行動するべきでした(もちろん、その上で自身の持ち場をしっかりと守るという選択も十分あり得ます)。
スタートアップの事業は計画通りにいかないことが多いです。下振れた場合、「ふーん。だめだったね」と他人事のように思うことはできますが、現実の問題として他人事ではありません。会社が本格的に上手く行かなくなった場合は自分の経済的な基盤を失うことに繋がり得ます。逆に上手くいけば今までにない製品やサービスを世に出し、大きな社会的意義と経済的利益を手にすることに繋がります。
どれだけ派手な資金調達をしても、どれだけ優秀な社員を揃えても、結局のところ、事業・会社が成功しなければ意味がない。このように考えるようになりました。
これはどんな職種・どんなレイヤーにおいても同様です。スタートアップでは単に自分の専門性を発揮するだけではなく、自分・チーム・そして社員全員が「偉大な会社を創る」というストーリーの欠かせざるピースであるという絵を描き、実行しなければなりません。
失敗したらどうする?
ここまで読んで、「えっ大変そう。それで失敗したら目も当てられないのでは?」「やっぱ不確実だな、大企業の方がいいわ」と思う人もいるかもしれません。
確かに、スタートアップの中には失敗とは言わないまでも、グロースしきれず中小企業として存続する会社もそれなりにあると思われます。その過程で事業がうまくいかず、人員整理や事業の大幅な方針転換など、厳しい決断を迫られることもあります。
ただ、もしその会社が将来的にうまくいかなくなっても、個人として「利益」や「会社の成長」に真摯に向き合うことは決して無駄ではありません。そのことで育まれた同僚との信頼関係が次のチャンスにつながります(ある意味、我々は互いの失業保険です)。そして何よりも、自分の頭で会社の成功を考え抜く経験は本質的かつ貴重なものだと思います。
覚悟が人を自由にする
自分のキャリアが上手くいかなかったらどうしよう、会社が上手くいかなかったらどうしよう。将来どうなるのだろう。
これらの悩みはスタートアップのみならずどんな会社・どんな人でも生じうる普遍的なものだと思います。私も悩んでいましたし、今でも悩みます。
私の場合、スタートアップで働くことを通じて次第に会社の存在意義である「利益創出」に立ち返り、そこからは決して逃げられないと考えるようになりました。この覚悟を決めてから、少し不思議ではありますが、職能や立場を超えて、今までよりは自由に発想できるようになったと思います。
スタートアップの事業の成否は複雑系であり、優秀な社員がどれだけ頑張っても成功の保証はない無慈悲な環境ではあります。しかし、だからこそ、保証のないものに賭けた仲間である社員一人ひとりが会社の存在意義を考え、一人ひとりが会社に影響を及ぼしていきます。このダイナミクスこそがスタートアップの醍醐味ではないでしょうか。
最後に、estieについて紹介させてください。
私がestieで働く理由は、一つには業務内容です。私の専門性であるデータ活用と事業の成功が密接に結びついています。estieの商品の根幹は不動産データで、この収集・分析・提供がお客様の価値に直接つながっています。このような会社は珍しく、私のようなキャリアの者にとって挑戦しがいのある環境です。
そしてもう一つは社風です。estieでは「偉大な会社を創る」ことに自覚的であり、私が大切だと考えていることと方向性が合っていると感じています。
ここまで読んでいただき、スタートアップやestieに少しでもご興味を持ってくださる方がいれば嬉しく思います。スタートアップは万人に勧めるべきものではないし、その一つであるestieもまだまだ小さく不確実な会社ではあります。しかしながらestieがスタートアップの醍醐味を存分に経験し尽くせる環境であることはお約束できます。少しでも気になる方がいらっしゃれば、ぜひカジュアル面談や選考で社員と話してみてください。皆様のご応募お待ちしています!
2025年4月8日(火)に「estie PM Meetup #5」が開催されます!
estieのメンバーと話してみたい方、PMのスキルを磨きたい方、ぜひご参加ください