オフィス移転をする理由は何?オフィス移転の理由16選と働き方改革について

中村 優文(Masanori Nakamura)

目次

  1. オフィス移転をする理由とは?
  2. オフィス移転の理由16選
  3. オフィス移転の増加に影響した「働き方改革」
  4. オフィス移転をしたい理由を考えてみよう

オフィス移転をする理由とは?

手続きや資材の移動、社員への説明など、オフィス移転は大きな労力がかかります。加えて、引越し費用や新たな設備の購入など、コスト面でも負担がかかるでしょう。


では、労力・コストをかけてオフィス移転をする理由はなんでしょうか。移転には負担だけではなく、大きなメリットがある場合も存在するのです。


オフィス移転では理由を明確にして考えていくことが大切です。当てはまる理由があるかどうか、確認していきましょう。

オフィス移転の理由16選

オフィス移転のきっかけとして、スペースの都合や業績面はもちろん、ブランディングや事業合併などをはじめとする、経営戦略も理由となり得ます。


また、行政からの交渉や、支援制度の活用など、少し意外な理由も挙げられました。順番にご紹介します。

1:企業のブランディングをしたい

都心の一等地や、業界で有名な地域にオフィス移転することで、企業のブランド価値が高まるメリットがあります。社会的な信頼性が増し、成長している企業というポジティブな印象を与えます。

2:人員の採用を強化したい

優秀な人材の確保に対してもオフィス移転は有効です。有名な地域や高層ビルにオフィスを構える企業であれば、就職を考える人に良い印象を与えます。


「広くてきれいなオフィスで働きたい」「眺めのいい高層階で働きたい」など、企業を選ぶ際には環境面が大切と考える人もいます。また、そのような企業に就職することで社会的地位を得たと実感したい人もいるでしょう。


さらに、おしゃれなカフェや休憩スペース、スポーツジムなど設備面を充実させることで、働きやすい環境をアピールできるメリットもあります。

3:利便性を向上したい

社員や取引先・顧客にとって便利な立地に移転することもあります。電車通勤の社員が多い会社や、外部との商談の多い会社なら駅の近くが便利です。車での営業活動が多ければ、大きな道路の近くや、駐車場の近くが便利でしょう。


また、オフィス移転がビジネスに良い影響を与える場合もあります。若者を対象としたサービスを扱う企業では、若者の多い渋谷にオフィスを借り、常に最新のトレンドを把握することでビジネスを有利にする例も存在します。

4:業務が縮小した

業務の縮小も理由として挙げられます。家賃はコストの中でも大きな割合を占めるものです。広いスペースが不要になったことをきっかけにオフィス移転をして、コスト削減につなげる企業も多く存在します。

5:業務が拡大した

反対に、業務拡大に伴うオフィス移転もあります。受注件数や契約件数の増加・事業規模の拡大など、ビジネスの成長に伴い移転の必要性が出てくるパターンです。


既存の事業の拡大だけではなく、新規事業の開設や、それに伴うスペースが必要になった等もこちらに当てはまります。

6:組織体制が変更された

1つの組織だったものを分離するため、逆に複数の組織だったものを1つにするためにオフィス移転をする企業も存在します。組織体制に合ったオフィスを選ぶことで業務の効率化を図ります。

7:オフィスにスペースが余るようになった

社員の離職などに伴い、不要なスペースが生まれるケースです。また、近年ではペーパーレス化により紙の資料を保管する必要が少なくなりました。それにより保管場所の大幅な削減に成功した企業も存在します。


作業の外注、テレワークの普及など、労働を取り巻く状況が余剰スペースを生み出すこともあります。

8:人員が増加してオフィスが狭くなった

人員の増加もオフィス移転の理由となります。業績の好調や事業拡大により社員の採用数を増やしたり、アルバイトやパート・派遣社員を雇ったりするという例が挙げられます。創業から時間が経ち、徐々に社員数が増えてきたという例もあるでしょう。


人員が増加しオフィスが手狭になると、デスクや会議室の確保や、快適なオフィス環境の維持が困難になります。

9:賃貸借契約の期間が終わった

契約期間の定められている「定期借家契約」であった場合、期間が満了になれば契約は自動的に終了となります。契約終了を理由にオフィス移転するケースもあります。再契約が可能な契約もありますが、その場合は再度契約手続きが必要です。


中には、期間満了の時点で事業が拡大しており、広いオフィスに移転できる見込みがあるため、まずはあえて安い定期借家契約をする企業も存在するようです。

10:自社ビルを得た

自社ビルを購入した場合や、新たに建築した場合もオフィス移転の理由になります。「自社ビルを持っている」というのは企業にとってのステータスです。


自社ビルを持つことで社会的な信用を得ることは、社員の自尊心が高まる事例でしょう。オフィスのレイアウトや、食堂・健康管理室など、社員向けの設備の開設と、自由度が高まるのもメリットです。自社ビルを得たことによるオフィス移転は、社員にとっても嬉しい出来事でしょう。

11:親会社が移転した

こちらは親会社が存在する場合の事例です。親会社と同じオフィスで経営されていた場合、グループ会社・子会社も一緒にオフィス移転する場合があります。


親会社と密接に関わりがあったり、下請けの作業を直接受注・納品していたりという企業であれば、一緒にオフィス移転することで利便性の維持が見込めるでしょう。

12:オフィスが老朽化した

オフィスの老朽化により、セキュリティが心配になるケースです。特に近年は入退室のためのセキュリティゲートやオートロックなどの設備が、珍しいものではなくなりました。最新の設備のある建物に移転することで、セキュリティ面に配慮します。


また、耐震性や防火性にも優れた建物に移転し、社員の命を守るのも、オフィス移転の重要な側面でしょう。

13:事業の合併などがあった

事業の合併で必ずしもオフィス移転をする必要はありません。しかし、2つの企業のオフィスを一緒にすることで、企業文化の活性化や、内部統制の強化などのメリットを得られる可能性があります。


また、オフィスを1つにすることで設備の維持にかかる費用を削減することも可能です。

14:公共事業などに協力した

オフィスの前にある道路の道幅が拡幅されることになった、周辺地域の再開発により移動しなければならなくなったなどの理由が挙げられます。また、河川のそばにオフィスがあった場合、堤防の新築・改築が行われることもあるでしょう。


こちらは行政の指示により仕方なく立ち退きとなるケースです。行政からの説明に応じ、補償金の交渉をしていくこととなります。

15:インフラの整備に協力した

「公共事業などに協力した」と似ていますが、こちらは空港や駅といったインフラ設備を理由とします。こちらも前のケースと同じく、行政と交渉して立ち退くこととなります。

16:支援制度を享受したい

支援制度を利用することでオフィス移転が得になる場合があります。例えば、県内に本社機能を移転しようとしている企業に対して、必要な経費を補償する地方公共団体が存在します。


出典:地域創造的起業補助金
参照:http://www.cs-kigyou.jp/

オフィス移転の増加に影響した「働き方改革」

厚生労働省の推進する「働き方改革」はオフィスのあり方にも影響を与えました。働き方改革の内容の1つに、在宅勤務やサテライトオフィス勤務と言った「テレワーク」の推奨が挙げられます。


テレワークは本来勤務するオフィスへの出勤が不要です。終日、または部分的にオフィス以外の場所で勤務します。当たり前だったオフィスのあり方が、大きく見直されることとなりました。オフィスに勤務する人数が減り、オフィス維持費が削減できたという意見もあります。


広いオフィスが不要となり、コンパクトでコストの低いオフィスに注目が集まっています。


出典:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

「働き方改革」の具体的な内容

働き方改革の内容を振り返ってみましょう。働き方改革とは、働く人が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選べるようになることを目指す改革です。時間外労働の上限規制や、同一労働同一賃金といった取り組みが進んでいます。


働き方改革を進める上で、オフィスの働きやすさにこだわったという企業の取り組み事例も存在します。


壁のないオフィスにすることで業務の見える化を実現したり、カフェスペースを開設することでコミュニケーションの活性化を図ったりなど、その事例はさまざまです。


働き方の見直しにおいて、問われるのは残業や賃金の問題だけではありません。オフィスのあり方を見直していく姿勢も問われると言えるでしょう。


出典:働き方改革 特設サイト|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/

オフィス移転をしたい理由を考えてみよう

オフィス移転の理由やその事例についてご紹介しました。近年では働き方改革の一環として、より良いオフィス環境に注目が集まっています。


社員が働きやすい環境を作り、社員の定着や優秀な人材の確保を目指す企業が増えています。また、テレワークの普及により、少ない座席数でも業務が回るようになりました。


環境面や設備面の整ったオフィスに移転したり、コストの低いコンパクトなオフィスに移転したりすることにメリットのある時代となりました。


オフィスのあり方を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

監修

執筆者
中村 優文(Masanori Nakamura)
経歴
早稲田大学大学院卒業。大学院時代では未踏スーパークリエータに認定される。その後、三菱地所に入社し物流施設のアセットマネジメントや営業に従事。 不動産業界の知見とエンジニアリングの知見両方を持ち合わせており、estie proのプロダクトマネジャーとして活躍。 フットワーク軽く社内イベントをよく開催する。
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