オフィス移転に活用できる補助金・助成金6選|申請前の注意点5つも紹介
- トレンド
- 2021/03/01
補助金と助成金は何が違う?
受け取る側にとって補助金と助成金に大差はありません。国や地方公共団体、民間団体などから支出され、原則返済不要です。
しかし、補助金は受け取れる団体の数が限定されていて高額を貰える場合が多いですが、条件も厳しい場合が多いです。助成金は提示された条件をクリアすれば確実にもらえる場合が多いですが、金額が少ないです。
補助金
補助金とは、新規事業を始めたり、創業促進、国策や地方公共団体の活性化のための手段のひとつとして実施されています。国や自治体が、政策目的達成のために企業や個人事業主を支援するための制度です。
補助金は実施される期間も不確定ですが、予算が決定した4月から5月に公募されるものが多いです。もし、落選しても補正予算が組まれる場合もありますので諦めず情報を集めましょう。
助成金
助成金は、厚生労働省を中心に実施されている政策です。主たる目的は雇用増加や人材育成のためです。原則通年を通して申請可能で、条件として指定されやすいのは、従業員数や業種です。合致していればほぼ支給されるため、補助金に比べて難易度は低いです。
ただ条件設定のハードルが低めだと人気が出やすく、情報開示してからすぐに終了してしまうケースもあるので、早めに申請することをおススメします。
出典:各種助成金・奨励金等の制度|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/joseikin_shoureikin/index.html
オフィス移転に活用できる補助金・助成金
補助金や助成金と言われても想像がつきにくいかもしれません。ここからはオフィス移転に役に立つ、国や自治体が中心となって出資している補助金制度や助成金制度の一部をご紹介していきます。
事業所移転の不安を少しでも緩和できるようわかりやすくご紹介していきます。
1:地域創造的起業補助金
かつては創造事業金という愛称で呼ばれていましたが、現在は地域創造的起業補助金という名称になっています。
あくまでも、創業に関わる経費を一部助成するものなので少額です。これから新規事業を起こそうとする人に限定して支給されますが、新しくオフィスを構えるのであれば心強い補助金です。
ただし、産業競争力強化法という法律に認定されている地域しか対象にならないので、対象地域かどうか確認しましょう。
出典:産業競争力強化法|経済産業省
参照:https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/
2:ものづくり補助金
名前から連想できるようにものづくり補助金は、商品、サービスなど何らかの商品を作っている小規模会社のオーナー向けの補助金制度で、中小企業庁が管轄です。毎年公募要領が発表されているので、改訂がないか確認しましょう。
補助金によるオフィスへの設備投資をきっかけに効率が上がることが条件です。企業規模や分野にも制限が設けられているので、自身の企業に適正があるかどうか確認する必要があります。
3:事業継承補助金
自身の事業を誰かに継承(引き継ぎ)する際に、事業の転換を行う中小企業に支給される補助金です。単なる継承や世代交代だけでなく、経営の方向転換など今までの事業に革新的要素がないと申請できない制度です。
もし、オフィス移転を機に事業を引き継ぐタイミングで、何かチャレンジしたい新規事業があるのなら申請してみてもいいかもしれません。
4:小規模事業者持続化補助金
補助金を出しているのは、行政だけではありません。日本商工会議所や、全国商工会連合会の支援を受ける制度もあります。経営計画(事業計画書や創業計画書など)を作って申し込みすれば、補助金が付与される制度です。
この補助金の小規模事業者とは、個人事業主や従業員数が少ない会社を指します。創業して間もない会社や、個人事業主は従業員数が少ないはずなので、多くの創業者が申し込める補助金です。
5:キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は非正規労働者の正社員化、人材育成や処遇改善といった取り組みに対し助成されます。採用リスクを最低限にして、優秀な人材を育成確保する目的の制度です。
通年利用できるキャリアアップ助成金は正社員化、賃金規定等改定、健康診断制度、賃金規定等共通化、諸手当制度共通化、選択的適用拡大導入時処遇改善、短時間労働者労働時間延長など7つのコースがあり、毎年4月に適用範囲が拡充されています。
出典:キャリアアップ助成金 |厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
6:創業助成金(東京都中小企業振興公社)
創業助成金は、創業に必要とする経費の一部に対する補助金です。
都内で創業を予定している個人、または創業から5年未満の中小企業者に、人件費、賃借料、広告費など創業初期に必要な経費の一部を助成しています。
なお、各自治体や地域によって申請できるものもありますので、詳しくは各都道府県HPなどで確認してみてください。
補助金の申請における注意点5つ
補助金や助成金を申請しようとすると、事務処理や勤務に関する時間的制約の条件が増えます。場合によっては補助金や助成金を申請しない方が事業がうまく進む場合もあります。
この他にも事業所移転に伴う補助金の利用する場合には、いくつか注意する必要があります。どれも基本的知識ばかりですが、基礎中の基礎だからこそしっかりと知っておきましょう。
1:本当に申請が必要か考える
補助金はいいことばかりではなく、デメリットもあります。補助金申請をする際には書類が1枚で済むことはほとんどなく、多くの証明書類も必要とします。その書類申請の壁を乗り越えて補助金が採択されても、採択後の厚い壁が待っています。
採択後は補助を受けた事業の収益状況の報告義務があります。この報告書の作成が面倒ですが、調査が入る可能性もあります。補助金をオフィス移転の最終手段として捉えておきましょう。
2:課税対象になる
助成金によって課税対象になる条件が定められているので、要綱によく目を通す必要があります。
法人は法人税、個人事業主は所得の課税対象になる場合があるので注意しましょう。また、収益として計上する時期については、支給決定があった日の事業年度になります。
3:消費税はかからない
補助金や助成金を申請するにあたって、一番不安なのは税金の支払いです。補助金と助成金は所得税や法人税は課税対象となっていますが、消費税は対象外となっているのです。
収入としては「雑所得」に分類されるため会計イメージだと、消費税も課税対象になるように感じますが、国のガイドラインでは「資産の譲渡の対価に該当しないこと」と明記されています。
出典:国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/shohizei.pdf
4:受付期間を確認する
小規模事業者持続化補助金を例に見ていきましょう。2020年度は小規模事業者持続化補助金の公募受付開始が4月28日でしたが、補正予算案が可決され第5次募集までありました。補正予算案が可決されなければ公募はありません。
つまり、補正予算案の会議がいつ行われるのかを把握し、可決されたら目標とする補助金の情報を集めるために、補助金の事務所に直接出向いたり電話する必要があります。
出典:小規模事業者持続化補助金|日本商工会議所
参照:https://r2corona.jizokukahojokin.info/corona/
5:後払いが基本
多くの補助金は後払い制となっています。例えば総額300万円の事業で1/3の100万円の補助金が出る事が決まっている場合は、自社で300万円を支出し、支出した証明を保存しておく必要があるのです。
補助金はオフィス移転を行う前に貰えるものと勘違いしていて、200万円だけ用意して移転作業を進めても途中で崩壊します。補助金申請時に記載した事業総額と同額の資金を用意するようにしましょう。
オフィス移転は補助金を活用しよう
多くの書類の作成や証明書の発行など少々手間はかかりますし、採択後すぐに降りるわけではありませんが、事務所移転の費用を少しでも抑えたいのであれば条件を確認し申請してみましょう。
補助金と助成金は、事業を支える貴重な資金になりうる存在です。大きな違いもなく、返済は原則不要なので必要にあわせて活用していきましょう。