オフィスのエントランスデザインのポイント8つ|デザインの事例も紹介

中村 優文(Masanori Nakamura)

目次

  1. オフィスエントランスが持つ役割
  2. エントランスのオフィスデザインのポイント8つ
  3. エントランスのオフィスデザインの事例4選
  4. 目的に合ったエントランスのオフィスデザインを考えよう

オフィスエントランスが持つ役割

企業を訪れた人が最初に足を踏み入れ目にするのが、オフィスエントランスです。企業の第一印象・企業イメージを決める重要な役割を持っています。


他にも、そのデザインにより、企業価値を高める・社員モチベーションの維持・訪問者に対する案内所・企業PRなどの役割も担います。


優良企業といわれる会社の多くが、エントランスにデザインを取り入れています。

エントランスで企業の印象が決まる

第一印象であるエントランスで、企業の印象が決まります。


ビジネスの場面で、清潔なスーツを身に着けた営業マンと、寝ぐせ頭にフケの付いたスーツを着た営業マンとでは、どちらに好感を覚え、どちらと取引したいと考えるでしょうか。おそらく、ほとんどの人が信頼できそうな前者を選択するでしょう。


企業においても同じことが言えます。エントランスで、明るい清潔感・重厚な信頼感・自由な発想など訪問者が良いイメージを持てば、興味をもってもらいやすくなります。

エントランスのオフィスデザインのポイント8つ

魅力的なエントランスにするには、エントランスとしての「機能性」を考慮することや「企業の印象付け」「セキュリティ面」など、いくつか抑えるポイントがあります。


エントランスのオフィスデザインに有効なポイント8つをご紹介いたします。

1:自社の顔としての雰囲気づくりを意識する

エントランスは企業の顔ともいわれるほど、企業のイメージとして来客の印象に残ります。


そして、すべての来客が訪れるブランディング効果の高い場所でもあります。明るさや解放感を出し、好印象を与えられるように意識するのがポイントです。

2:自社の象徴を押し出す

エントランスにロゴや企業シンボルの入ったパネルを設置したり、コーポレートカラーなどの自社の象徴を取り入れることで、それらの持つイメージを「企業の印象」として訪問者に与えることができます。


また毎日エントランスを目にする社員が、自社イメージを意識するようになることでインナーブランディング効果も期待できます。

3:企業理念やマインドを表現する

企業理念やマインドをエントランスデザインに取り入れることによって、エントランスでの待ち時間を利用したプロモーション効果が期待できます。


ビジネスのスタート時点で、自社の目指すものや何を大切にしているのかなどを感じ取って理解してもらえることは、今後の進行をスムーズにします。

4:オフィス全体との統一感を持たせる

エントランスから社内に入った時に違和感のないよう、会社全体の内装に一貫性・統一感を持たせましょう。


どんなにインテリア・内装・装飾が素敵なものでも、全体にまとまりのないバラバラな印象では魅力的なオフィスには映りません。


最初にオフィス全体のデザインのコンセプトを明確に決めることで、統一感のあるデザインが可能になります。

5:動線や機能性を意識する

エントランスの主な機能である案内所として、各部署へのスムーズな動線や、業務上の利便性を兼ね備えている必要があります。


混雑時の別ルートを用意したり、人の動線が複数・複雑なレイアウトにならないことや、災害時の避難通路として法律に基づいた動線確保を行うなど、細部にまで気を配りましょう。


デザイン性と機能面が、上手く融合するように重視する必要があります。

6:ホスピタリティを向上させる

受付カウンターは、来客対応に適した配置・角度であることや、客観的な目線から案内の分かりやすさなどを考慮し、無人受付の場合は端末を設置してスムーズな来客対応を計画します。


近年、多くの企業で待合室や商談の場としてもエントランスを活用し、ホテルやマンションのエントランスのように、ソファーや照明・観葉植物・アロマなどを置き、快適な空間で来客をもてなすデザインが増えました。


ホスピタリティの充実は、企業好感度を高めます。また来訪者への心遣いは、ビジネスの円滑化にも役立つでしょう。

7:セキュリティ面に注意する

日中、出入りに制限のないセキュリティの弱いエントランスでは、不審者の侵入を容易にしてしまいます。


受付カウンターを設けることは防犯効果がありますが、無人受付の場合でもセキュリティシステムとしてカードリーダーによる入退室管理や、防犯カメラの設置、施解錠システムの導入により安全性の高いエントランスにすることが可能です。

8:サードプレイスとして意識する

エントランスを会社の顔や出入口にとどめず、サードプレイスとしてエントランス以上の機能を持たせるデザインがあります。


サードプレイスとは「自宅や職場以外の第3の場所」という意味ですが、社員の気分転換・新たなコミュニケーション・インスピレーションを得られる場として注目されています。


サードプレイスとして、セミナーを行う空間、ラウンジやカフェを併設したデザインにするのもエントランスの上手な活用方法です。

エントランスのオフィスデザインの事例4選

エントランスは企業イメージと直結するうえ、自社のコンセプトを表現できる大切な空間です。


近年の事例では、企業ロゴのパネルと無人受付機のみのシンプルなデザインや、エントランスの概念にとらわれず、さまざまな機能性をもたせたデザイン、自社の特性を前面に打ち出したデザインなどがみられます。


ここではエントランスのオフィスデザインの4つの事例を、それぞれの特徴とともにご紹介いたします。

1:コーポレートカラーやロゴを基調としたエントランス

企業のコーポレートカラーやロゴを効果的に使っている事例は、多くの企業エントランスでみることができます。


老舗ジーンズブランドのリーバイス日本支社のエントランスは、メーカーの赤いロゴによるブランドイメージを基にコーポレートカラーの赤と黒を基調としたインテリアで統一し、暖色系の床や照明・素材でビンテージ感を演出しています。


社内内装もポイントに赤を使用し、オフィス全体でブランドを意識できるデザインの事例です。

2:企業理念など内面を表現したエントランス

企業理念などの内面を表現したエントランスは多くの企業で取り入れられており、タッチパネルでの情報発信やメッセージ性のある壁面演出など、その手法はさまざまです。


株式会社グリットグループホールディングスは、アスリート学生の採用をメイン事業としていることから、実際に陸上のトラックコースをデザインとして取り入れたユニークなオフィスエントランスです。


エントランスから社風や企業理念を直球で感じとることができます。

3:広報の場を兼ねたエントランス

エントランスの一角に自社製品を展示するスペースが設置されている、広告の場を兼ねたエントランス事例もあります。


とくにメーカーやサービス産業では、多くの企業がエントランスに主力商品や提供サービスを紹介するブースを設けています。


書籍校正・校閲専門会社 株式会社 鷗来堂のエントランスは、手掛けた書籍が壁に展示されておりギャラリーのような空間です。スリット状のガラス越しから、社員の姿やライブラリーが見えるようにデザインされています。

4:待合室を兼ねたエントランス

待合室を兼ねたエントランスでは、担当者が来るまでの間、来客が座って待てるように、ゆったりとしたソファーや椅子を置き、観葉植物などを添えてリラックスできるスペースを造っている事例が多くみられます。


株式会社SHIFTのエントランスは「松」=「待つ」の言葉遊びから、コンセプトでもある「松の盆栽」を取り囲むように大型のソファーが配置されています。機能美と意匠美の調和の図られた存在感のあるエントランスデザインです。

目的に合ったエントランスのオフィスデザインを考えよう

ご紹介したエントランスのオフィスデザインの8つのポイントは、全業種に共通するポイントです。デザイン事例を参考にしながら自社独自の特性を加えて、業種・企業目的に合ったデザインを考えましょう。


目的に合ったデザインを取り入れることで、エントランスが単なる出入口ではなく付加価値のあるスペースになります。

監修

執筆者
中村 優文(Masanori Nakamura)
経歴
早稲田大学大学院卒業。大学院時代では未踏スーパークリエータに認定される。その後、三菱地所に入社し物流施設のアセットマネジメントや営業に従事。 不動産業界の知見とエンジニアリングの知見両方を持ち合わせており、estie proのプロダクトマネジャーとして活躍。 フットワーク軽く社内イベントをよく開催する。
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