増床とは|増床を行う際のポイント6選や増床を行う際の注意点5選を紹介

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. 増床とは
  2. 増床を行う際のポイント6選
  3. 増床を行う際の注意点5選
  4. 増床を理解し検討してみましょう

増床とは

増床とは、オフィスの未使用面積を減少させ、利用面積を増やすことです。


日常多く使われる増床は、入院施設で患者用のベッドを増やす場合や店舗の売り場面積の拡大などです。オフィスの場合は利用するフロア面積に適用します。


増床は現在使用中のオフィスの床面積を増やす場合に使用します。増床以外で使用スペースの拡大方法は、分室などです。

移転との違い

増床と移転との違いは、使用中のオフィスの継続使用です。


同じ建物内でも現在のオフィスを閉鎖した場合は移転、オフィスの利用を継続したまま、使用面積を拡大した場合は増床にあたります。移転には、従来のオフィスを全く別の場所に集約した場合も含みます。現在の本部オフィスを継続したままフロアを増やして集約すると増床です。


増床に移転増床も含める場合もありますが、厳密には内部増床だけを指します。

増床を行う際のポイント6選

増床を行う際は現状を把握して、現状維持や移転よりもメリットが多い時に実施します。


増床のメリットは、引っ越しの手間を省けることです。社員の負担も減らせますし、経費も節約できます。しかし、現状で仕事の効率が上がらない時や動線が複雑で安全が確保できない時、機械設備の更新に迫られた時などは思い切って環境を変える選択も必要です。


増床を行う際のポイントを紹介します。

増床を行う際のポイント1:会社の現状を理解しておく

増床を行う際は、会社の活動状態や経営状況、建物の状態など現状を確認します。


事業が軌道に乗ってオフィスが手狭になった場合や、新規事業の立ち上げにより設備を導入する場合は、増床が必要です。自社ビルなどで耐震強度に問題がある時や、事業内容と家賃が釣り合わない時は、思い切って移転をするほうが多くのメリットを享受できます。


社員が気持ちよく働ける環境を確保するための選択肢は、現状維持と増床、移転です。

増床を行う際のポイント2:手間などが省ける

増床すると、引っ越しによる手間を省けます。


引っ越しは、今のオフィスの閉鎖と新規オープンの両方の手間が発生します。片付けと移動に伴う、取引先への連絡や手続き、ITネットワークの再構築など多くの手間がかかります。


未活用の場所の荷物移動だけで増床できれば、全ての手間を省けます。同じ建物内で別フロアに分室をオープンする増床も、引っ越しの手間を抑える有効な手段です。

増床を行う際のポイント3:社員に対する負担が減る

増床すると働く環境を整備でき、社員の負担を軽減します。


現状の環境改善が目的であれば、増床によるスペース拡大は労働環境改善のきっかけです。移転すれば、通勤手段の変更や通勤にかかる時間も代わり、生活スタイルの変更も発生します。オフィス近くの保育園が、移転によって遠くになる可能性も否定できません。


増床は社員の生活を保ったまま、オフィス生活を向上できます。

増床を行う際のポイント4:費用削減ができる

増床は引っ越しにかかる費用削減が可能です。


移転は引っ越しや移動手続き、連絡、備品の購入などに費用がかかります。賃貸物件であれば、保証金など家賃以外の一時的な出費も必要です。また、移転の場合、備品や書類など不用品の処分にも費用が発生します。


未利用の場所を稼働スペースに変更すると、同じ家賃で活用面積を拡大でき、家賃の引き下げと同じ効果を得られます。

増床を行う際のポイント5:移転する際のコスト削減

増床は交渉次第で、移転する際のコスト削減も可能です。


同じ建物で物件が見つからない場合、オーナーや管理会社に相談すると保有物件を割安価格での紹介もあります。移転で家賃収入が減少するよりも、増床や移転で収入を拡大できればメリットが大きいからです。


同じオーナーや管理会社であれば、契約手続きも簡単で、家賃の引き落とし口座の変更なども不要です。

増床を行う際のポイント6:ネット環境の設定の手間が省ける

増床の長所は、ネット環境の再設定をしないことです。


現在使用中のネット環境を維持したまま、事業を継続できます。移動すると、会社内で使用するパソコンを全て再設定しなければなりません。ネットワークに接続する機器全てが対象となるため、パソコン以外の機器も再設定が必要です。


業務の停滞を余儀なくされ、移転前にはデータのバックアップ作業など使用環境の保全作業も発生します。

増床を行う際の注意点5選

増床を行う際は、増床したスペースの場所によって異なる対応が求められます。


同じビル内での増床は簡単にスペース拡大ができますが、別フロアの場合は分室と同じ対応です。別の建物に変更する際は、オーナーや管理会社が異なると審査や諸手続きに時間がかかります。


現在のオフィスを閉鎖する移転は、取引先への連絡など漏れがないように注意し、自社ビルを建て替える場合は、仮オフィスと割り切って移転先を確保します。

増床を行う際の注意点1:現在のオフィス内での増床の場合

現在使用中のオフィス内を増床する場合は、費用と手間を削減できます。


パーテーションや家具の配置変更で対応でき、従来の動線に変化がないため、仕様変更に伴う負担も軽減できます。ネットワーク環境の変更もなく、スムーズな移行です。


レンタルスペースが増えれば家賃も増えます。手狭な問題が解消できても、環境に変化が少なく、現状に対する不満が残る可能性もあります。

増床を行う際の注意点2:同じビル内での増床の場合

同じビル内での増床は、分室と同じ効果です。


同じオーナーや管理会社のため、審査に時間がかからず手続きも簡単です。しかし、移動する部署の引っ越しやIT環境の再設定など、費用と手間が発生します。狭い場所ですぐに連絡が取れた環境からの変更は、どちらのオフィスにも一定の負担です。


来客の多いオフィスでは、取引先や顧客へ丁寧な連絡も求められます。外部との接触が少ない部署が移転して、顧客への負担を軽減します。

増床を行う際の注意点3:別のビルを借りての分室増床の場合

別のビルを借りた分室増床は、社員のコミュニケーションの維持が課題です。


移転よりも費用や手間を抑えられます。近くの建物の場合は本部にスペースを残して、コミュニケーションの維持を目指します。新規オフィスは備品や設備の導入だけで業務を開始できるため、新規事業や研究開発などの部署を移動させると作業効率も上がるでしょう。


部署間にテレビ会議システムや勤怠管理など、支店オープンとして対応します。

増床を行う際の注意点4:オフィスを移転させ行う増床の場合

オフィスの移転増床は、社員のやる気を刺激します。


新しい環境は、誰でも張り切って業務に取り組めます。従来のオフィスで不足したスペースを十分に確保して、働きやすい環境作りを行いましょう。


レイアウト変更は、作業効率が一時的に低下する場合もあり、通勤環境の変化は、社員に想像以上の負担をかけます。来客が多いオフィスは取引先や顧客への丁寧な案内を当面の間続ける覚悟も持ちます。

増床を行う際の注意点5:建て替えの際の増床の場合

自社ビルの建て替えは、企業の成長を予感させ社員の気持ちも昂ります。


同じ場所での建て替えですが、その間は仮オフィスに入居するため、関係先に理由を明確に説明し、近くに借りられない場合も想定して、着工前には社員に丁寧に説明しましょう。


建て替えは、長期的な視野で取り組みます。建設費用の他に、仮オフィスの準備や維持、駐車場の確保、社員の働く環境の保全に配慮します。

増床を理解し検討してみましょう

増床は、企業業績が良い状態の表れですので、積極的に取り組みましょう。


社員の働きやすい環境作りや新規事業の立ち上げなど増床のきっかけは様々ですが、スペースの確保は想定外の連続です。従来のオフィスを維持すれば、費用や手間は削減できますが、環境は変わりません。一時的な負担が発生する分室や移転など、複数の候補から選びます。


増床のメリットとデメリットを理解して、検討しましょう。

監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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