オフィスをガラス張りにするメリット6つとは?プライバシーを確保する方法も解説

中村 優文(Masanori Nakamura)

目次

  1. ガラス張りとはどんな壁のこと?
  2. オフィスをガラス張りにするメリット6つ
  3. オフィスをガラス張りにするデメリット
  4. オフィスをガラス張りにするときのポイント
  5. ガラス張りオフィスのプライバシーを確保する方法4つ
  6. ガラス張りオフィスにしてみよう

ガラス張りとはどんな壁のこと?

ガラス張りとは、板状に加工されたガラスで囲った構造物や空間を意味します。土・木・石・コンクリートなど視界を遮る従来の壁と違い、壁全体が視界を遮らない窓のような状態になります。


構造物の壁と言えば室外と室内の間にある壁(外壁部)のイメージがあり、実際にガラス張りのオフィスビルなどは外見が全面ガラス張りになっていることも多いです。しかし、ガラス張りの壁は室外から確認できる部分だけではありません。


室内の部屋と部屋の間に隔てる壁にも、ガラス張りを用いることができます。しかし従来の壁で作る完全な部屋というよりは、仕切り(パーテーション)という形で部屋・空間を分けるイメージになります。

オフィスをガラス張りにするメリット6つ

企業の職場となるオフィスでは、外壁部の壁や部屋の間に隔てる壁をガラス張りにしているところも多く見かけます。オフィスをガラス張りにするメリットはいくつか挙げられますが、主に6つあります。


空間が明るくなる・外観がお洒落な雰囲気になる・社員同士の表情が見える安心感・狭いオフィスでも狭さを感じない・良い緊張感につながる・コミュニケーションが活性化することです。


各メリットについて、以下にご紹介していきます。

1:空間が明るくなる

オフィスをガラス張りにするメリット1つ目は、空間が明るくなることです。従来の外壁にいくつかの窓が設置されている室内と比べて、ガラス張りの室内には外からの太陽光が入りやすくなります。


部屋と部屋の間に隔てる壁をガラス張りにする場合も、窓から入る光が部屋全体に通りやすくなります。外壁部のガラス張りは製品によって開閉性能の有無が異なりますが、開閉可能では通気性の良さ(換気力の高さ)も実現可能です。

2:外観がお洒落な雰囲気になる

オフィスをガラス張りにするメリット2つ目は、外観がお洒落な雰囲気になることです。透明感によって軽い印象があるガラスを壁に用いることで、スタイリッシュな見た目になります。


壁に使う素材の種類は技術の進歩と共に増えましたが、ガラス張りが魅せるシャープで爽やかなお洒落さは特有のものと言えるでしょう。このデザイン性はビジネスシーンで好まれる雰囲気に結び付く部分があるため、オフィスの壁に選ばれることが増えています。

3:社員同士の表情が見えることによる安心感

オフィスをガラス張りにするメリット3つ目は、社員同士の表情が見えることによる安心感です。部屋など一空間の壁をガラス張りにすることで、離れている場所にいる社員の顔も見えるようになります。


顔を知っているというだけでも存在を認識することにつながるため、対人における安心感を得ることができます。


また、普段の表情を見ることもできるため、その様子から感じられる性格や人間性のイメージができるでしょう。話しかけやすくなる他、関わり方を頭の中でシミュレートしやすくなることが期待できます。

4:狭いオフィスでも狭さを感じない

オフィスをガラス張りにするメリット4つ目は、狭いオフィスでも狭さを感じないことです。一空間を隔てる壁をガラス張りにすると、オフィス全体を見渡せるようになります。


視覚的な広さを感じることができるため、敷地面積は変わらなくても室内で狭さを感じにくくなると言われています。スペースに制限があるオフィスでは閉鎖的な空気感になりやすいので、広く見えるよう工夫することで社員の気分低下が起きる割合を減らすことにもつながるでしょう。

5:良い意味での緊張感につながる

オフィスをガラス張りにするメリット5つ目は、良い意味での緊張感につながることです。業務中の様子を見られる時には、多少なりとも緊張感を覚える方が多いでしょう。


室内の壁がガラス張りになることでオフィス内の全社員の様子を見ることができるため、自身も全ての社員に見られる可能性を持つことになります。


このような常にみられる状況に慣れると、良い行動を意識したり、良い結果や評価を得ようとする気持ちが芽生える可能性があります。つまり、見られることによる良い緊張感が、モチベーションやパフォーマンスの上昇につながるということです。

6:コミュニケーションが活性化する

オフィスをガラス張りにするメリット6つ目は、コミュニケーションが活性化することです。顔を知っている安心感から話しかけやすくなるため、気軽なコミュニケーションが増える可能性があります。


部署が異なる社員同士のコミュニケーションも行ないやすくなり、新しいアイデア・発想・コラボレーションも生まれやすくなります。議論における意見の出し合いも良好に進みやすく、仲間意識や協力体制の向上にもつながるでしょう。

オフィスをガラス張りにするデメリット

オフィスをガラス張りにすることで得られるメリットはたくさんあり、社員と会社に与える良い影響が期待できます。しかし、他の壁材と同じく、ガラス張りによって生じ得るものはメリットだけではありません。オフィスをガラス張りにすることによるデメリットも当然あります。


たとえば、防音機能の低さと慣れない社員に与える影響です。企業側はデメリット面を考慮し、適切な対策を行なうことで、ガラス張りのメリットが活かされるでしょう。

防音機能がない

オフィスをガラス張りにするデメリット1つ目は、防音機能がないことです。視界が遮られるタイプの壁材と比べて、ガラス張りの壁は50~100%も音を通過させると言われています。つまり、防音機能や遮音性がないということです。


外の音がオフィス内に入りやすくなったり、ガラス張り空間内の音が空間の外に漏れやすくなります。社内の音漏れや周囲の音による心理的悪影響が心配な場合は、二重窓や防音機能付きのガラス・シート・フィルムを使用しましょう。

なかなか慣れない社員もいる

オフィスをガラス張りにするデメリット2つ目は、なかなか慣れない社員もいることです。視界が遮られる壁のオフィスに慣れている社員にとっては、常にみられる可能性があるガラス張りの空間に慣れることが難しい場合もあります。


視線が適度な緊張感につながればパフォーマンス向上につながりますが、強い緊張感やプレッシャーに結び付くと逆に業務効率やモチベーションが下がる可能性が懸念されます。


また、社内の情報が漏れるプライバシー問題が気になって集中力が低下する可能性も否めません。そのため、会社で扱う情報の種類(プライバシーの程度)との兼ね合いを考えたり、慣れにくい社員を考慮したレイアウトを取り入れるなど工夫が必要です。

オフィスをガラス張りにするときのポイント

オフィスにガラス張りを取り入れる時は、使用するガラスの厚みや施工費用が重要なポイントになります。ガラスの厚みは、防音性や強度に関係する要素です。


オフィスがある階層や使うガラスのサイズなどによって、使用に適する厚みは異なります。施工費用は、企業側にとって無視できない項目となります。また、ガラスという素材そのものが他の壁材よりも基本的に高いため、経理的な兼ね合いを考慮する必要があると言えるでしょう。

ガラスの適切な厚さは?

オフィスのガラス張りには、5~10mm厚以上のガラス材を用いることが一般的です。10mm厚以上のガラス材は、1人では持ち上げが困難なほど重く、店舗の出入り口などの枠なしガラスドアにもよく用いられています。


5~10mm厚といった差がある理由は、ガラスのサイズも厚みの選定に関係するためです。


パーテーションとして使う場合の話ですが、1800mm×900mmのガラスでは5mm、それ以上では8~12mm必要になることもあります。室外との間に隔てるガラスは、オフィスの階層と耐風圧などを考慮した構造計算で導き出します。

施工費用の目安

ガラス張りの施工費用は、規模・種類・サイズ・階層などで異なります。パーテーションとしてのガラス張りには、支えとなる縁の素材でスチールタイプとアルミタイプに分けられています。


比較的にアルミの方が安価で、軽量かつカラーバリエーションにも優れます。また、天井に近い部分を塞ぐか否かでも施工費用は変わります。アルミドア1枚にガラスパネル4枚の場合の目安は、約15万円です。

ガラス張りオフィスのプライバシーを確保する方法4つ

ガラス張りのパーテーションを取り入れたオフィスでは、プライバシーの確保が必要になる場合も多いです。扱う情報や技術などによっては、ちゃんと対策を行なわないと後のアクシデントにつながります。


社内用会議室はオープンでも、社員が慣れていればプライバシーやメリットの妨げになる事象は起きにくいです。問題が懸念されるのは来客用会議室で、来客の集中力を妨げる可能性があります。お客様などと商談を行なうスペースでは特に、プライバシー確保のための対策が必要です。

1:擦りガラスを採用する

プライバシーを確保する方法1つ目は、擦りガラスを採用することです。擦りガラスにすると人または物のシルエットや色などは認識できますが、顔や書類などの細部は認識できなくなります。


つまり、人がいることは分かるが、プライバシーに関係する情報は見えなくなるということです。光はあまり遮られないため、オフィス全体が明るくなるというメリットが妨げられることはありません。


一部のみ擦りガラスを採用することで、お洒落かつ明るいオフィス空間となります。

2:フレームを付ける

プライバシーを確保する方法2つ目は、フレームを付けることです。全面をガラスパネルにするのではなく、一部に不透明なフレームを取り付けます。


フレーム部分は目線を遮ることができるため、必要な場所に設けることでプライバシー確保につながります。また、見た感じお洒落にもなります。ただし、フレームの設置には設計の段階で使用決定をする必要があるため、事前によく検討しましょう。

3:シート貼りでデザインする

プライバシーを確保する方法3つ目は、シート貼りでデザインすることです。ガラスパネルに貼るシート(フォグラスシート)で、必要な部分に目隠しを作ります。擦りガラスと同様に不透明で見えにくくなり、お洒落な印象になるでしょう。


デザインはメーカーによりますが、無地のサンドやストライプ・和紙・木目調などがあります。カッターやカットマシンで自由に加工でき、中には溶剤系インクジェットプリントが使える製品もあります。

4:ブラインドを取り付ける

プライバシーを確保する方法4つ目は、ブラインドを取り付けることです。開閉可能なブラインドを取り付けることで、他者の視線があると困る時は閉め、他者の目線を遮る必要がない時は開けるといった状況に合わせた遮蔽が可能となります。


ブラインドには縦型と横型がありますが、それぞれの良し悪しがあります。良い点を挙げるとすれば、縦型はホコリが溜まりにくいこと、横型は入る光を調節しやすいことが挙げられます。

ガラス張りオフィスにしてみよう

オフィスにガラス張りを取り入れることで、社内が明るくなると共に狭さを感じにくくなるため、社員の気分低下を軽減する可能性があります。


また、社員全体の様子を見ることが容易になることから、対人的な慣れ・協力体制・組織意識が向上し、社内環境が良くなる気軽なコミュニケーションにもつながることが期待できます。オフィス全体や会議室などに、ガラス張りの導入を検討してみましょう。

監修

執筆者
中村 優文(Masanori Nakamura)
経歴
早稲田大学大学院卒業。大学院時代では未踏スーパークリエータに認定される。その後、三菱地所に入社し物流施設のアセットマネジメントや営業に従事。 不動産業界の知見とエンジニアリングの知見両方を持ち合わせており、estie proのプロダクトマネジャーとして活躍。 フットワーク軽く社内イベントをよく開催する。
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