賃貸オフィスの初期費用を安く抑えるには?かかる費用と安く抑えるコツ5つを紹介
- オフィス移転
- 2021/02/01
目次
賃貸オフィスの初期費用はいくらかかる?
10坪〜50坪ほどの場合、個人の物件が多く、敷金や礼金などの費用が掛かり、50坪以上の場合、大手デベロッパー物件やファンド物件になるので、敷金、保証金と仲介手数料のみになります。
例として、(賃料15万円、面積10坪、保証金6ヶ月のオフィスの場合)敷金90万円、前家賃15万円、仲介手数料15万円、保証委託料15万円、火災保険料2万円、合計137万円です。
さらに、その他諸々の費用もかかります。
賃貸オフィスにかかる初期費用6つ
賃貸初期費用には、大きく分けて6つあります。
前賃料の費用:賃料の1〜1ヶ月半分、前共益費の費用:管理費の1〜1ヶ月半分、敷金の費用:賃料の1〜12ヶ月分、礼金の費用:賃料の1〜2ヶ月分、火災保険料の費用:1万5千円〜15万円、仲介手数料の費用:賃料の1ヶ月分となり、すべて平均的な費用です。
なお、大手デベロッパー、ファンド物件は礼金無しなので賃貸を借りる際は、少し安く費用を抑えることが可能となります。
1:前賃料
そもそも家賃というのは、先払いになっていることがほとんどです。そのため入居の際に、契約した月の家賃と翌月の家賃を、契約時に支払います。このことを『前賃料』と言います。
一度に2ヶ月分の家賃を支払うため、損をしているのではないかと思うでしょう。ですが、上記にも書いてある通り、翌月分の家賃を支払っているため、実際は損をしているわけではありません。必要なお金を先に支払ったということです。
2:前共益費
前共益費とは、マンションなどで暮らしている全員が利用する設備やサービスを維持するための費用のことです。
具体的に言うと、玄関や廊下、エレベーターなどの電気代や外壁の塗装代、備品の修繕などの費用になります。
似たような言葉で管理費というのがありますが、管理費とは共有部分の清掃や管理人がいる場合はその人件費などにあてられる費用のことです。基本共益費とセットの意味で使われているため、同じものになります。
3:敷金
敷金とは、借主が部屋を損傷したり、汚したりしたときの修繕費用としてあてるためや、家賃の滞納リスクの担保のために大家が入居者から預かるお金のことです。
退去時に家賃の滞納もなく、原状回復された状態の場合は、全額返金になります。
通常の生活で起こる劣化や損耗は、入居者の義務ではないので返金対象です。しかし、敷金の返還に関する法的整備が整っていないため実際に全額戻ってくることは、ほとんどありません。
4:礼金
礼金とは部屋を貸してくれる大家に対して、お礼としてお渡しするお金です。
元々は1923年の関東大震災で、家を失い住宅不足だった時に家を貸してくれた大家にお礼を渡したのが始まりという説や、就職や進学のために下宿暮らしをする子の親が大家に対して、送ったという説もあります。それらが慣習となり、今では制度のようになっています。
礼金を安くしている賃貸は多いので、多くの物件で比較すると分かりやすいでしょう。
5:火災保険料
火災保険とは、マンションやビルなどの建物と、中にある什器や家具などの動産を補償するものです。
そして、建物や動産といった保険の対象ごとに加入する仕組みになっています。そのため、火災保険は火災だけでなく、風災、落雷、水害、水漏れ、盗難などの日常生活での事故も補償されます。
地震や噴火、津波を原因とする損害は火災保険で補償されません。注意したいことは、地震を原因とする火災事故の場合も火災保険対象外です。
6:仲介手数料
仲介手数料とは、物件情報の提供、契約条件の交渉、重要事項の説明、契約手続きなど取引を成立させてくれた対価として不動産会社へする支払いのことです。
賃貸の取引で不動産会社が受け取れるのは、「家賃の1ヶ月分+消費税が上限」と決められています。
そして、部屋と駐車場が別々の契約になっている場合、部屋の仲介手数料1ヶ月分+駐車場の仲介手数料2ヶ月分といった形で支払うこともあります。
7:その他
初期費用を考える上で、大事なことが入居工事費用と、原状回復工事費用です。
まず、入居工事費用は具体的に、電気工事、LAN・ネットワーク工事、電話工事、内装工事(エントランスや会議室の造作)、パーテーション工事(会議室や役員室)、セキュリティ工事(執務室のドアなど)、空調工事、防災工事、引越し作業などがあります。
原状回復工事とは、退去する物件を明け渡す際に借主は貸主に対してその物件を元の状態にすることです。
初期費用を安く抑えられる?
いよいよ本題です。まず結論から述べると、初期費用を安く抑えることは可能です。ただ、まず上記で述べられてきた、何に費用がかかってそれがなんなのかを知っていることが前提であり、大切なことです。
それらを踏まえた上で、これから初期費用を抑える方法やポイントを紹介していきます。
賃貸オフィスの初期費用を安く抑える方法5つ
下記で紹介する方法は、レンタルオフィスを検討する、不動産業者と交渉をする、安い地域で探す、居抜き物件を利用する、フリーレント物件を利用する、の5つです。
1つずつメリット・デメリットをわかりやすく説明します。
1:レンタルオフィスを検討する
レンタルオフィスとは、個別の専有スペースを借りながら必要に応じて、共有スペースを利用するという形態になります。
メリットは、賃料の3ヶ月分程度または保証金なしというものがあるので、初期費用を格安にできるでしょう。また、あらかじめ設備が整っているため、入居してすぐに事業を始められます。
デメリットは、商談スペースなどが簡易なものが多く、情報管理が難しいことによるプライバシーの問題や、改装できないことなどがあります。
2:不動産業者と交渉をする
賃貸を借りる際、不動産業者との交渉にはいくつかポイントがあります。
まず、口コミやネットを見て交渉に成功した経験が多い不動産屋に相談することです。
そして、値下げしやすい費用としては、大家さんへのお礼金になる礼金と、不動産屋の設定した目標に達成していない場合にどうしても入居してほしいといった事情があると応じてもらいやすいのが、仲介手数料です。
なお、安く交渉しすぎて断られることもあるため気を付けましょう。
3:安い地域で探す
平均賃料の安い地域で探しましょう。
当然のことですが、同じ地域内でも駅から遠く最寄り駅がターミナル駅でないだけでも、だいぶ賃料が変わってきます。例えば、千代田区でも大手町、丸の内周辺は比較的賃料が高く、飯田橋や九段下周辺は賃料が低いことが多いです。
ですが、賃貸を安くしすぎて後悔することもあるのでしっかりと適した地域を選びましょう。
4:居抜き物件を利用する
居抜き物件とは、通常原状回復まっさらな状態で受け渡されるところを、前賃借人の間仕切り(パーテーション)等をそのまま渡されるような物件のことです。
メリットは、施工コストの削減や、施工期間の短縮などがあります。逆にデメリットは、内装や設備がそのまま使用できない可能性や、造作譲渡費用の発生、設備のリース契約などがあります。
5:フリーレント物件を借りる
フリーレント物件とは、一定期間家賃が無料の契約形態のことです。初期費用0円とまではなりませんが、この制度はwin-winなものです。
入居者側のメリットは、当然初期費用が抑えられることです。大家側のメリットは賃料を下げずに済むので、資産価値を下げずに早く空き部屋を埋められます。
入居者側のデメリットは、違約金の発生です。大抵フリーレント物件では、「短期解約違約金」が設定されています。そのため、短期間で引っ越す可能性がある人には適しません。
賃貸オフィスの初期費用を安く抑える際の注意点
まず賃貸を借りる際に注意したいことは、敷金や礼金が安い賃貸は、駅から遠い、築年数が数十年、周辺がうるさいなどにより人気がなく、実は家賃が高くなっていることが多い点です。
敷金がない物件などは、退去時のクリーニング代によってトラブルになることもあります。
安くすることに重点を置きすぎて、自分に適したオフィスを借りられなくなってしまったら本末転倒なので、メリット、デメリットを理解しておくことが大切です。
賃貸オフィスを選ぶポイント
まず、条件を決めてその条件に優先順位をつけることが大切です。
そして、不動産会社を比較することなども欠かせないポイントです。さらに、ビル周辺にどのような業種の事務所が多く入っているかのチェックなどもポイントとなります。
条件とするポイントは、ロケーション、広さ・設備、管理面の詳細、通信環境、テナントの入居状況、賃料・コストなどです。
賃貸オフィスにかかる費用を把握してから初期費用を安く抑えよう
初期費用は抑えて損はありません。ですが、安さにつられて適していない賃貸に急いで決めてしまうと、また何度も移転しなくてはならなかったり、工事費がかさんでしまったりと無駄な出費になるので安く抑えることができません。
また、「初期費用タダ」や、「初期費用0円」と書いてあるものも、その理由を調べる必要があります。
上記で述べられてきた費用の内訳や、相場などをしっかり理解し見極めることが大切です。