オフィス物件の居抜きとスケルトンの違い|それぞれのメリット3つを紹介
- オフィス移転
- 2021/03/01
目次
オフィス物件の居抜きとスケルトンの違い
オフィス物件を選ぶ場合、居抜き物件にするかスケルトン物件にするか決める必要があります。居抜き物件とスケルトン物件にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらがいいと簡単に言うことはできません。違いを理解してどちらがいいか見極める必要があります。
本記事では、居抜き物件とスケルトン物件の違いやそれぞれのメリットとデメリットを紹介していきます。
まず、両者がどのような物件であるか簡単に説明していきます。
居抜き物件とは
居抜き物件とは、過去に入居していた事業者が使っていた内装、設備、什器、家具などが残された状態の物件のことです。
退去時にすべて取り払われる内装、設備、什器、家具などの一部もしくは全部が残っているので、それらを利用することで工事費用を抑えてスムーズにオフィスを開くことができます。
スケルトン物件とは
スケルトン物件とは、柱や梁、床などの建物の骨組や構造躯体だけで内装設備が無い物件のことです。
スケルトン物件では、契約後に内装工事を行い、什器や家具を搬入しオフィスとして機能するように仕上げていきます。
スケルトン物件には、構造躯体だけで設備が一切ない物件もあれば、半スケルトンや一部居抜きと言われる床下にダクトや配管といった一部設備が備えられているものもあります。
居抜き物件のメリット3つ
居抜き物件の特徴は何と言っても過去に入居していた事業者が使用していた内装や設備、家具などが残されており、それを引き継いで事業を開始できることです。
内装などをそのまま利用できることで、入居時のコストが抑えられるなどのメリットを期待することができます。以下に3つのメリットをご紹介します。
1:入居時のコストが抑えられる
居抜き物件のメリットの1つ目は、入居時のコストが抑えられることです。
居抜き物件は、過去に入居していた事業者が使っていた家具や設備などを含めた価格で貸し出しや売買が行われますが、新しく一から揃えるよりも安価で場合によっては設備を無料で利用することができます。
クロスや床の張り替え、配線工事も必要最低限で済みますので入居時のコストが大幅に抑えられます。
2:工事期間が短縮できる
居抜き物件のメリットの2つ目は、工事期間が短縮できることです。
スケルトン物件は内装工事が終わるまでに1か月~5か月かかると言われていますが、内装や設備がある居抜き物件であれば場合によっては看板を付け替えるだけで開業することができます。
内装工事が必要な場合でも最低限の工事だけで済みますので、短期間で工事を終わらせすぐにオフィスとして使うことが可能です。
3:内装に関わる業務が軽減できる
居抜き物件のメリットの3つ目は、内装に関わる業務が軽減できることです。
オフィスを移転もしくは立ち上げるためには通常業務と並行して、移転や立ち上げの業務を行っていく必要があります。内装に関わる業務だけでも工事業者の選定、契約、レイアウトプランニング、打ち合わせなどがあり、決められた期日までに終わらせるのは至難の業です。
居抜き物件であれば内装に関わる業務が大幅に軽減できます。
居抜き物件のデメリット6つ
内装などを引き継ぐことができるので、入居時のコストが抑えられる、内装に関わる業務が軽減できるといったメリットがありオフィス物件に適していますが、居抜き物件にもデメリットはあります。
ここからは居抜き物件を選ぶことで考えられるデメリットを6つ紹介していきます。
メリットだけを見て居抜き物件がいいと決めつけずに、これから紹介するデメリットも理解して総合的に判断するようにしましょう。
1:レイアウトの変更がしにくい
居抜き物件のデメリットの1つ目は、レイアウトの変更がしにくいということです。
居抜き物件は配管や配線など設備がある程度決まっており、新たに何かを設置しようとしても思うようなレイアウトで設置することができない可能性があります。
もしレイアウトを変更するのであれば今あるものを取り払い作り直す必要があり、スケルトン物件を選ぶよりも費用がかさんでしまうので、レイアウトまで考えて物件を選ぶようにしましょう。
2:設備の修繕歴などを確認する必要がある
居抜き物件のデメリットの2つ目は、設備の修繕歴などを確認する必要があることです。
居抜き物件の設備が最新のものであるとは限りません。古い設備だと購入した時期や修繕歴が確認できないと寿命があとどれぐらいあるか分からず、故障してしまった場合には高額な修理費用がかかってしまうこともあります。
また、場合によっては修理できずに買い替えが発生してしまうこともあり、居抜き物件というメリットが得られなくなります。
3:オフィス家具の説明書や保証書が無い場合がある
居抜き物件のデメリットの3つ目は、オフィス家具の説明書や保証書が無い場合があることです。
備えられているオフィス家具があまりにも古い場合には説明書や保証書が残されていないことが多く、取り扱い方や管理、修理の仕方が分からずに、場合によっては修理できず購入しなければならないということが考えられます。
管理会社やオーナーに説明書や保証書があるかを確認するようにしましょう。
4:設備や床などに汚れがある場合がある
居抜き物件のデメリットの4つ目は、設備や床などに汚れがある場合があることです。
設備や床などの内装が古く掃除してもきれいにならないという場合には居抜き物件でも内装工事が追加で必要になってきて、思いのほか費用がかかってしまうことがあります。
特に、前に入居していた事業者が退去してから期間が空いているような物件は、設備や床などを交換しなければならない可能性が高いので内覧時に確認するなど注意が必要です。
5:設備の譲渡費用がかかる場合がある
居抜き物件のデメリットの5つ目は、設備の譲渡費用がかかる場合があるということです。
設備を無料で引き継ぐことができる物件もありますが、一般的には『造作譲渡契約』を結び次に入居する事業者が設備を買取り引き継ぐことになります。
立地などを理由に高額な費用を請求される、古くて使えない設備の買取りを迫られるといいうこともありますから、契約前に設備の相場を把握ししっかり交渉するようにしましょう。
6:希望に合った物件を見つけにくい
居抜き物件のデメリットの6つ目は、希望に合った物件を見つけにくいということです。
オフィス物件を退去する場合、一般的に家具や什器を撤去し原状回復工事を行います。ですから家具や什器、内装を残して退去する事業者は少なく、居抜き物件の数はそれほど多くありません。
居抜き物件自体の数が少なく、そこから希望に合う物件を探すのは非常に困難なことです。
スケルトン物件のメリット3つ
スケルトン物件の特徴は柱や梁などの構造躯体だけしか残されていないので、一から自分好みのオフィスを作り上げていけるということです。
スケルトン物件には、主に3つのメリットを期待することができます。以下でご紹介しますので参考にしてみてください。
1:自由にレイアウトができる
スケルトン物件のメリットの1つ目は、自由にレイアウトができることです。
一部設備が残されているものもありますが基本的には構造躯体だけしかありませんから、自由にレイアウトを決めることができます。
スケルトン物件を選べば、無駄のない動線で働きやすいオフィスを作り上げることができますし、デザイン性の高いこだわりのオフィスを作り上げることもできるでしょう。
2:新しい設備で業務開始できる
スケルトン物件のメリットの2つ目は、新しい設備で業務開始できることです。
居抜き物件は過去に入居していた事業者が使用していた設備を引き継ぐことにより、その事業者についたイメージまで引き継いでしまう可能性があります。悪いイメージを引き継ぐと経営にも影響します。
一方、スケルトン物件であれば新しい設備で業務開始できるので、それまでのイメージを払拭し新しくなったことを認知してもらえるでしょう。
3:設備を管理しやすい
スケルトン物件のメリットの3つ目は、設備を管理しやすいことです。
居抜き物件では設備の説明書や保証書が無く、修繕歴も把握できないというデメリットがありますが、スケルトン物件で新しい設備を導入することになれば、説明書や保証書が全て揃っていてメンテナンス時期も分かります。
故障しても保証期間内であれば費用をかけずに修理できるので、スケルトン物件は居抜き物件よりも設備を管理しやすいと言えます。
スケルトン物件のデメリット3つ
スケルトン物件は構造躯体があるだけなので、自由にレイアウトして新しい設備を入れて業務を開始できるというメリットがありますが、それが逆にデメリットにもなってしまいます。
一からオフィスを作り上げることで内装費用が高額になる場合がありますし、業務開始までの期間が長くなり、退去時に原状回復しなければならないというデメリットがあることを忘れてはいけません。
1:内装費用が高額になる場合がある
スケルトン物件のデメリットの1つ目は、内装費用が高額になる場合があることです。
スケルトン物件は何もない状態からオフィスとして機能させるために、床やクロスの張り替え、パーテーションや家具の設置、電気設備や空調設備、水回りなど必要になる全ての工事を行わなければなりません。
そのため設備が残されている居抜き物件と比べると、内装工事にかかる費用が高額になってしまいます。
2:業務開始までの期間が長くなる
スケルトン物件のデメリットの2つ目は、業務開始までの期間が長くなることです。
スケルトン物件は電気や空調など各種設備工事からはじまり、内装工事が終了し業務が開始できるまでにレイアウト決めや打ち合わせなどを含めると長い場合には半年もかかってしまいます。
契約してからすぐに開業まで進めることができる居抜き物件と比べると、業務開始までの期間が長く、その間も賃料が発生するのは大きなデメリットでしょう。
3:退去時に原状回復する必要がある
スケルトン物件のデメリットの3つ目は、退去時に原状回復する必要があることです。
賃貸物件を退去する場合には原状回復の義務があり、スケルトン物件であればスケルトン状態にして返さなくてはいけません。
スケルトンに戻すためには当然ですが費用がかかります。デザイン性が高い凝った内装にしてしまうと原状回復費用が高額になってしまいますので注意が必要です。
居抜き物件がおすすめの場合
オフィスの立ち上げを予定している人の中には居抜き物件とスケルトン物件のどちらを選んだ方がいいのか、悩みを抱えている人もいるでしょう。
オフィスを立ち上げる場合、スケルトン物件よりも居抜き物件を選んだ方がいいというケースはあり、自分がそのケースに当てはまるかを見極める必要があります。
ここからは、居抜き物件がおすすめになる場合について紹介していきます。
初期費用を抑えたい場合
オフィス立ち上げにかかる初期費用を抑えたい場合には居抜き物件がおすすめです。
居抜き物件を大きく改装してしまうとスケルトン物件からオフィスを作り上げるよりも費用がかかってしまいますが、残された設備や内装をそのまま使うのであれば初期費用をかなり抑えることができます。
オフィスの立ち上げにそれほどお金をかけることができないという場合には居抜き物件を検討しましょう。
すぐに仕事を始めたい場合
業務開始までに時間がないという場合やすぐに仕事を始めたいという場合には居抜き物件がおすすめです。
スケルトン物件の場合、内装工事を終わらせ家具などの搬入が終わらなければ仕事を始めることができません。
オフィスとして業務を始められる内装や設備などが居抜き物件には揃っているので、看板を掛け変えるなど必要最低限の工事を終わらせるだけですぐに業務を開始することができます。
スケルトン物件がおすすめの場合
居抜き物件と同じようにスケルトン物件にもスケルトン物件を選んだ方がいいケースがあります。ここからは、スケルトン物件がおすすめの場合について紹介していきます。
スケルトン物件を選ぶ場合には、スケルトン物件がおすすめの場合に当てはまるかしっかり見極めるようにしましょう。
新しい環境で仕事をしたい場合
新しい環境で仕事をしたい場合はスケルトン物件がおすすめです。
居抜き物件は入居期間にもよりますがどうしてもそれまで入居していた事業者のイメージが強く、その古いイメージのもとで仕事を始めなければなりません。
それまでのイメージを払拭し新しい環境で仕事を始めたいのであれば居抜き物件よりもスケルトン物件の方がいいでしょう。
内装について明確なイメージがある場合
内装について明確なイメージがある場合にはスケルトン物件がおすすめです。
居抜き物件では既にある設備を大きく動かすことができず、こだわりのレイアウトやデザインを実現させることが難しく希望がかなわないことが多々あります。
その点スケルトン物件であれば配線なども自由ですから、内装について明確なイメージを持っている場合はスケルトン物件の方がいいでしょう。
居抜き物件とスケルトン物件の違いを理解しよう
居抜き物件にもスケルトン物件にもそれぞれメリットとデメリットがあり、事業者により抱えている事情にも違いがありますから、簡単にどちらがオフィス物件に向いているということを言うことはできません。
居抜き物件とスケルトン物件の違いを理解した上で、自分たちが抱える事情と合うのはどちらか考えながら選ぶようにしましょう。