みなさんは霞が関ビルディングをご存知でしょうか?
1968年に竣工した霞が関ビルは50年以上が経った今でも、東京の中心霞が関で、異様な存在感があります。 建設当時には様々な「日本初」が取り入れられていた霞が関ビルは、日本を象徴する建物でした。ビルの総容積は約50万立方メートルあり、東京ドーム竣工以前は「霞が関ビル○個分」と言い表していたほどです。 今回は、そんな日本初の高層ビルである霞が関ビルディングをご紹介します
霞が関ビルディング基本情報
名称 :霞が関ビルディング 住所 :東京都千代田区霞が関3丁目2-5 竣工 :1968年4月 高さ :約147m 階数 :地下3階、地上36階建、塔屋3階 敷地面積 :11,578.43 m² 延床面積 :153,959.23 m² 所有者 :三井不動産 アクセス:銀座線 虎ノ門駅 徒歩3分、丸ノ内線 霞ヶ関駅 徒歩5分、日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅 徒歩9分
日本初の高層ビルとその背景
霞が関ビル建設のきっかけは社団法人東京倶楽部の保有する「東京倶楽部ビル」の建替えでした。依頼を受けた三井不動産は、当時建築基準法によって、31mという高さ制限があったため、当初は9階建てビルの計画案を立てていました。着工直前の1961年の都市計画法改正で導入された特定街区を申請し指定を受けることで、日本初の高層ビルへと計画を変更しました。 1960年代前半の東京は人口と産業が集中したことで、緑地の減少や大気汚染、騒音など様々な問題がありました。そんな時代の要請を満たすような土地利用をするために、研究を重ねた結果超高層ビルの建設を決意するに至りました。ビルの高層化によって生まれるスペースに緑や憩いの場を展開することで、大都市で失われつつあった人間性の回復を目指したのです。 しかし、日本初の試みということで多くの問題もありました。構造や設資材など未知のことに対し、設計者、施工者、材料、機器メーカーなど、多くの関係者が議論を重ねることで難題を乗り越えることで、霞が関ビルディングは完成しました。
50年経っても色あせないオフィスビル
霞が関ビルディングは、フロア中央にエレベーターを置き、回遊性の高い構造にすることでオフィスのレイアウトを時代のトレンドに合わせて柔軟に変更することが可能になっています。この構造は対面のコミュニケーションが重要視される今の時代にもピッタリな空間です。また、IT化などが進む時代に合わせ、総工費約470億円を投じて3度の大規模改修を施し、最新の設備にリニューアルしています。他にも、最新のBCP(事業継続計画)を備えたり、シェアオフィス「ワークスタイリング」を展開したりするなど、まさに三井不動産グループが企業思想として大切にしている「経年優化」を象徴するような建物と言えます。 時代に合わせた改良を積み重ねることで、あべのハルカスや横浜ランドマークタワーなど様々な高層ビルが建ち並ぶ今でも、高層ビルのパイオニアとして存在感を示しているのです。
人気スポットとしての「霞が関ビルディング」
オフィスビルとしての歴史や工夫をお伝えしましたが、様々な用途としての霞が関ビルディングを紹介していきます。
展望台
最上階の36階にある東京を一望できる「展望回廊パノラマ36」は多い日には1日21000人の来場者を記録しました。(1989年営業終了)
映画
霞が関ビルディングをテーマにした映画「超高層のあけぼの」が1969年に公開され、同年度の邦画興業ランキング2位を記録する大ヒット。
結婚式
開業当初、霞が関ビルディングの屋上で「日本一高い場所での結婚式」が行われました。
霞が関ビル○個分
今では、大きいものを「東京ドーム○個分」と表現しますが、当時は約50万立法メートルの霞が関ビルディングを用いて「霞が関ビル○個分」と表現していました。
終わりに
いかかでしたでしょうか。竣工後50年経ってもなお進化を続け、存在感を示し続ける霞が関ビルディングの魅力は伝わったでしょうか。霞が関ビルディングが今後、どのように更なる進化をしていくのか楽しみです その他の記事もぜひご覧ください。
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