新しいオフィスのトレンドとは?テレワークに便利な共用オフィスも紹介

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. これまでのオフィスのあり方
  2. 時代に応じた新しいオフィスのトレンドとは?
  3. テレワークに便利な新しいオフィス
  4. 時代に合わせた多様な働き方のできる新しいオフィスを目指そう

これまでのオフィスのあり方

新型コロナウィルスの感染が拡大する前のオフィスでは、社員全員が同じ場所に、同じ時間に集まって働くことが一般的でした。空調・電気・通信設備などの環境を整え、社員一人ひとりのデスクを確保することが、必要最低限と考えられていたのです。


近年では働き方改革を推進するために、一部の企業ではテレワークを導入したり、フレックス勤務制度を取り入れたりする企業も増えてきましたが、広く普及するまでには至りませんでした。しかし、この動きが、新型コロナウィルス感染拡大を背景に、一気に広がることになりました。


そして、新しい働き方に合わせて、新しいオフィスへの見直しも必要となってきています。

フリーアドレス制の広がり

フリーアドレス制とは、社員が固定席を持たずに、自由に席を選んで仕事をすることをいいます。


フリーアドレスにより流動的な部署の垣根を超えたコミュニケーションが活性化されたり、必要のないデスクを削減することでオフィス賃料の削減にもつながったりするため、コロナ前から多くの企業で取り入れられていました。


ザイマックス不動産総合研究所によると、2020年春のフリーアドレス制導入企業は30.3%に上り、2017年の16.7%の倍近くに上昇しています。このことからも、フリードレス制は、すでに一般的なオフィスレイアウトになっているといえるでしょう。


出典:大都市圏オフィス需要調査2020春(6月実施)|ザイマックス不動産総合研究所
参照:https://soken.xymax.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/2007-office_demand_survey_2020s-2.pdf

オフィスに人が集まる働き方

従来の働き方は、同じ場所の同じ時間に人が集まることを前提とした集約型のオフィスです。集約型オフィスでは、対面で会議や商談を行うため、会議室や応接室が必要であったり、出社する社員数に応じたデスクの用意も必要でした。


オフィスに人が集まる集約型オフィスでは、物理的にも人が集まることを前提にレイアウト設計が行われていました。

時代に応じた新しいオフィスのトレンドとは?

コロナ禍においては、リモートワークで対応できる業務は在宅勤務となり、オンラインコミュニケーションを行うことが増えました。オフィスにおいても3密を避けるために出社人数を調整したり、オフィスレイアウトを見直したりする必要性が発生しました。


アフターコロナを見据え、今後オフィスに求められる機能は変化していくことが見込まれています。時代に応じた新しいオフィスのトレンドにはどのようなものがあるのか、オフィスの今後のトレンドをご紹介します。

テレワークの拡大とオフィスの省スペース化

在宅勤務やサテライトオフィスなどでのテレワークが浸透したことで、アフターコロナにおいても、新しい働き方が定着していくことが想定されます。


テレワークが定着すれば、当然オフィスで働く社員の数は減るため、新しいオフィスでは、オフィスに必要なスペースも見直しが必要になるでしょう。

集中スペースやコミュニケーションスペースの充実

リモートワークの機会が増えたことで、デスクワークはオフィス以外でも仕事ができることに気付いた反面、企画段階でのブレインストーミングなど、対面でのコミュニケーションの必要性に気付かされる人も多かったといわれています。


このことから、新しいオフィスにはただ業務を執行するだけでなく、社員がリアルのコミュニケーションを行うことで刺激を受けたり、新たな発想を生み出せたりするような機能が求められるでしょう。


執務スペースは減っても、大人数で会議を行うスペースや、カフェコーナーなど気軽に社員同士が触れ合える場所が求められます。


また、社員同士のコミュニケーションを活性化させるオフィスレイアウトを検討するのであれば、社員が集中して業務に取り組める集中スペースも必要といえます。

テレワークに便利な新しいオフィス

在宅勤務は、通勤の負担がなく、育児や介護との両立がしやすいというメリットがある反面、仕事とプライベートの切り替えが難しいというデメリットがあります。また、「自宅の椅子だと、一日中デスクワークを行うのは体力的にきつい」という声も少なくありません。


そこで、オフィスと在宅勤務の中間にある、第3のオフィスとして、コワーキングスペースやシェアオフィスが注目されています。テレワークに便利な新しいオフィスについて解説します。

コワーキングスペース

コワーキングスペースは、複数の人が同じスペースをシェアして仕事を行う場所です。コワーキングには「協働」という意味があり、コワーキングスペースに集まってきた人がつながることも目的の一つとなっています。


コワーキングスペースの定義が明確にあるわけではなく、設備などはシェアオフィスを変わらないところもあります。「協働」を目的としたコミュニティーであることが、コワーキングスペースの特徴であると考えましょう。

シェアオフィス

シェアオフィスとは、複数の企業や個人が仕事をするための環境を共有するオフィスのことです。机・椅子・OA機器などの仕事に必要な設備がそろっているので、従来のオフィスと同様の環境で仕事ができます。


シェアオフィスは、一般的に個室ではなくオープンな共用のスペースです。個人情報や機密情報など、重要情報を取り扱いする作業を行える環境かどうか、確認することをおすすめします。

時代に合わせた多様な働き方のできる新しいオフィスを目指そう

新型コロナウィルスの感染拡大を背景に、リモートワークを取り入れる企業が増えましたが、ウィズコロナ時代もこの傾向は続くことが想定されます。オフィスも従来の形から、新しい働き方に適応させる必要があるでしょう。


オフィスに求められる機能を見直したうえで、新しい時代に合った、多様な働き方を前提としたオフィスを目指してください。

監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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