事務所移転に伴う費用の内容とは|事務所の移転費用を抑えるコツ4選紹介
- オフィス移転
- 2021/02/01
事務所移転に伴う費用の相場
事務所を移転するには、どのくらい費用がかかるのでしょう。
実は、事務所の引っ越しに相場はありません。その理由は、業種や事業規模、内装や什器などがそれぞれ大きく違い、同じようなケースというものがほとんど無いからです。
一般の引っ越しと同様、繁忙期と閑散期の価格差はありますが、事務所を移転する際はどこまでの作業を依頼するのか、予算内でどこまで要望に応えてもらえるのか、ということを重視して考える必要があります。
その上で、引っ越し業者の選定、スケジュールの調整、必要な工事の依頼などを行う必要があります。
旧事務所移転に伴う費用の内容5選
引っ越し前の事務所に関してかかる費用について、ご紹介します。
主な費用としては、旧事務所の原状回復費用と廃棄物の処理費用があります。それ以外にも、事務所移転費用として細々としたものが必要なので確認していきましょう。
1:産業廃棄物処理費用
事務所を移転する際には、古くなったオフィス家具や什器、OA機器など、沢山の不用品が発生します。これらの不用品を廃棄物として業者に処理を依頼した場合、産業廃棄物の処理費用がかかります。
この場合の処理費用の目安は、2トン車1台分だと約7万~8万円、4トン車1台分だと約10万~15万円になります。
2:原状回復工事の負担
ほとんどの物件では、現在契約している事務所を解約する際に、契約した当初と同じ状態に戻す必要があります。この、契約時の状態へ戻す工事のことを原状回復工事と言います。
どの程度の変更を加えているかによりますが、原状回復工事の目安は、10坪〜50坪の広さの場合で1坪あたり2万~5万円、50坪以上の場合は1坪あたりで5万~10万円です。
3:契約解除月までの賃料の支払い
契約の解約日よりも先に事務所を移転が完了していたとしても、契約の解除の日までの賃料については、契約通り支払う必要があります。忘れずに予算に組み込んでおきましょう。
4:デスクやロッカー・精密機器の運搬費
旧事務所から新事務所へは、社員のデスクやロッカーなどのオフィス家具や什器を移動する必要があります。これらの運搬費用は、移動距離や引っ越しの時期によって異なりますが、だいたい社員1人あたり2~5万円程度を考えておくと良いでしょう。
さらに、重量のあるものや精密機器の運搬などがあると、別途費用が加算される場合があります。
5:その他の費用
引っ越しに直接かかわる費用ではありませんが、その他にも様々な費用がかかることがあります。
まずは、移転した旨を伝える挨拶状の印刷や発送の費用です。また、名刺や封筒など事務所の住所が印刷されているものに関しては、住所を修正して新たに作り直す必要もあります。
ほかに、社員証やセキュリティカードの再発行、社員の定期代の精算などが必要な場合もあります。相場は1人あたり1~2万円程度ですが、これは内容によって大きく変わります。
また、事務所を移転する際に法務局や税務署など、様々な機関へ届出を出す必要があります。この作業を行政書士に手続き代行依頼した場合、一式10~20万円程度かかります。
新事務所移転に伴う費用の内容7選
新しい事務所に移転するには、移転先の物件の準備をしておく必要があります。
新しい事務所の準備のために必要な費用について7つご紹介します。条件によって費用は大きく異なるのでそれぞれの項目について検討し、どれくらい費用がかかるかイメージを持っておきましょう。
1:敷金・礼金・保証料
新しい事務所を借りるにあたって、まず敷金・礼金・保証料が必要になります。
敷金は、50坪の物件の場合で家賃の4~8ヶ月分程度が目安です。同額ぐらいの礼金がかかる場合もありますが、これは契約内容によって費用が変わります。また、賃貸の保証人がいない場合や、新しい会社の場合などで保証会社を利用すると、保証委託金がかかります。
これらの費用は、物件に損害を与えた場合や、家賃が未納の場合など、万が一のときの預託金になります。
2:家賃
前家賃として、まず入居を始める当月分の家賃を支払います。例えば、3月に物件を契約して4月から入居の場合、3月の契約時に4月の賃料を前もって支払います。
入居するタイミングによっては、当月分の家賃を日割りで払ったり、翌月の家賃も一緒に請求されたりすることもあるので、契約の際に確認しておきましょう。
このときに共益費(管理費)の支払いも必要となります。目安は1ヶ月分~1.5ヶ月分になるので、忘れずに予算に組み込んでおきましょう。
3:火災保険料
新しい事務所を契約する際、火災保険に入る必要があります。火災保険は、大家さんへの損害賠償火災保険という位置づけになります。そのため、火災保険への加入は必須であることが多いです。
火災保険の相場は、2年契約で最低2~3万円です。火災保険の内容によっては、火災だけでなく水漏れや盗難、什器備品への補償なども含まれている場合があり、補償内容によって保険料も変わってきます。契約の際には補償内容を必ず確認しておきましょう。
4:通信機器インフラ設備工事
新しい事務所には、LANなどのネットワーク設備や電話・電気などインフラ設備の整備も必要になります。これらにかかる費用は、1人あたり5万円程度が目安です。
ネットワークの工事費も条件によって変わります。セキュリティを厳重にしたり巨大サーバーを設置したりすると、その分費用は多くかかります。
5:セキュリティ対策費
業務内容によっては、新しい事務所へ移転するタイミングで新しいセキュリティシステムを導入することあるでしょう。
例えば、ビルへ入るためのセキュリティカードや、入退室管理システムにスマートロックなどを導入すると、その分の費用が必要となります。
これら新しいセキュリティシステムを導入するためのコストも考えておきましょう。
6:増改築工事
新しい事務所が、デスクを並べるだけで済む単純なレイアウトであれば、大がかりな内装工事は必要ありません。しかし、エントランススペースや会議室などの個室などを新たに設置しようと思うと、それにあわせて増改築工事を行う必要があります。
一般的な内装工事の相場は1坪10万~30万円程度ですが、どのような内装工事を行うかで費用は大きく変わります。
おしゃれな凝ったデザインの内装にすると、それに従い費用も膨らみます。内装業者によって、対応できる内容や料金は大きく違うので、理想とする内装を予算内で工事してくれる業者を選びましょう。
7:新規調達什器費用
旧事務所で使っていた家具や什器をそのまま使用するのであれば、新規に什器を調達する費用は必要ありません。しかし、新しい事務所のレイアウトに合わせて新しい什器が必要になることもあるでしょう。
特に必要ないのに、新しい什器を購入してしまった、また、必要なものを買っていたら予想以上にお金がかかってしまった、ということもあります。新規で購入する必要があるもの、今あるもので転用できるものをリスト化して、無駄のないようにしましょう。
事務所の移転費用を抑えるコツ4選
事務所の移転には、どうしてもまとまったお金が必要となります。注意しておかないと、思った以上のお金がかかることも多いです。
そこで、これらの移転費用を抑えるためのコツをご紹介します。
1:業者見積書を比較検討する
まずは、複数の業者から見積もりを取り、見積書を比較して業者を選びましょう。
ただし、金額が安いという理由だけで業者を決めるのは避けた方が良いです。安くても希望通りに移転ができなければ意味がありません。スムーズに移転できることを目的に業者を選びましょう。
良い業者を選ぶためには、移転直前に業者を探すのではなく、半年くらい前から業者選びを始めておくと良いでしょう。
2:不用品のリサイクルの買取をしてくれる業者を選ぶ
旧事務所にある家具や電化製品などで、使わないものは処分する必要があります。
このときに、不用品を捨てるのではなくリサイクルに出すようにしましょう。捨てるとなると産業廃棄物処理費用がかかります。リサイクルに出すと、処分費用がかからない上にリサイクルの買取でお金が入って来るので、移転費用の節約になります。
3:内装工事・通信設備工事を一括で行う業者を選ぶ
移転を依頼する際、内装や通信設備などの各種工事や引っ越しを個別の業者に頼むのではなく、それらを一括して行ってくれる業者に頼むのも良いでしょう。
工事や引っ越しを個別で頼むよりも費用が安くあがりますし、依頼する手間も省けるので時間の節約にもなります。
4:一定期間過ぎた書類関係の処分をする
移転費用を抑えるには、持っていく荷物を減らすことも大切です。
特に、溜まりやすいのが書類関係です。一定期間が過ぎて、見直す必要のない書類があれば、シュレッダーにかけた上で処分してしまいましょう。
事務所の移転は事前準備をして費用を抑えよう
移転の際には旧事務所のオーナーに連絡が必要です。契約によって異なりますが、一般的には半年前には連絡をする必要があります。このことからも、事務所の移転は半年以上前から準備しなければなりません。
事務所の移転には、どうしてもまとまったお金が必要になります。引っ越しの費用だけでなく家賃や保険料、各種工事や不用品の処分代など、その費用は中小の企業でも数百万単位になることがあります。
移転費用を抑えるには、業者選びや不用品の処分、新しい家具の選定など、あらかじめ準備をしておくことが大切です。移転費用を抑えるためにも、事務所の移転準備は早めに、計画的に行いましょう。