社長室のデザイン事例9選!デザインを考えるポイントやインテリアの選び方
- オフィス移転
- 2021/03/01
目次
社長室があるオフィスはどのくらいなのか
「社長室があるオフィスがどれくらいあるか」の公式の調査はないようですが、社長室という部屋自体は少なくなっている傾向にあります。
これは、部屋でなくてもフロアの一角を社長の執務スペースにして、機密性の高い書類の保管や会議などは別途場所を確保すればよい、などのことから、社長室が必要ではなくなったためでしょう。
社長室ってどんなイメージ?
「社長室」と聞くと閉鎖的、重厚といった印象を受けることが多いでしょう。そのため、「社長室へ行くことはない」、「社長室に呼ばれたけど入りづらい」と考えてしまうこともあるでしょう。
近年ではこれらの印象を解消するため、社長「室」と言っても部屋ではなくフロアの一角を社長の執務スペースにしたり、部屋の壁をガラス張りにしたりして開放感を出しています。
社長室を作ることのメリット3つ
社長という役職は、企業の意思決定をする特別な職種で、機密性の高い書類を扱ったり会議をしたりします。また、この業務は他者には任せられません。
そのため機密を外に漏らさないように、また社長業に専念できるように、社長室という特別な部屋を作ります。
社長室を作るメリットについて、情報漏洩を防ぐ、他者に任せられない仕事、会議室の利用、の3点からみていきましょう。
1:社外秘情報の漏洩を防ぐ
社長室を作る理由として「機密漏洩の防止」があります。
企業を運営するときには、「どのようにして経営戦略などの社外秘のデータや書類を保管するか」、また、「社外秘書類の保管場所への出入りをしにくくする方法」を考えなければなりません。
事務所の一番奥に社長室を作り、入室管理を厳重にすることで社外秘情報へアクセスしにくくなり、情報漏洩を防げるでしょう。
2:他者に任せられない重責のある仕事を任せられる
社長という職務は会社の最高意思決定という大変重要なもので、「社長としての仕事は他の人にはできない」とも言えるでしょう。また「一人で、落ち着いた環境で意思決定をしたい」となることもあるでしょう。
社長室をごく限定された役員や社員のみが出入りできるようにデザインすることで、他者に任せられない仕事を集中して行えます。
この場合でも必要に応じて会議をできるように会議スペースを作っておくと良いでしょう。
3:会議室の利用状況の改善ができる
社長は機密性の高い会議や打ち合わせが多い職種と言えるでしょう。機密性の高い会議を社員が使う会議室で行うと、「資料の置き忘れ」などで情報漏洩にもなりかねません。
社長室に「会議室」の要素を組み入れると、社長が主催または出席する会議や打ち合わせを社長室で済ませられます。
社員が使う会議室での機密性の高い会議をなくすことで、会議室の利用率が上がることが期待できるでしょう。
社長室を作ることのデメリット3つ
社長室という部屋を作ると、社長と社員との間に「壁」を作ることになりかねません。
これは「社長と現場の社員との間に距離ができる」というデメリットになり、コミュニケーションを取りづらくなる原因になります。社長室を作るときはデメリットの具体的な内容を考え、これらを解消する方法も同時に考えていくことになるでしょう。
1:中間管理職やリーダーがいないと社員の統率が難しい
社長室があると社長は社長室にいる時間が長くなって社員と接する時間が短くなり、社の方針が社員にうまく伝わりません。また、社員の現場の声が、社長まで届きにくくなる可能性もあります。
そのため、社員の現場の声を社長に伝える、また社の方針を社員に伝える中間管理職や現場のリーダー等の配置が必要になるでしょう。
2:コミュニケーションに緊張感が出てしまう
壁で囲まれた社長室があると、社員が社長室に入るときに緊張感が出てしまい、コミュニケーションを取りづらくなる原因になりかねません。
社長と社員がコミュニケーションを取りやすくするには、社長室という部屋を作らずにフロアの一角をパーテーションで仕切る形にする、社長室のドアを常時開けておいて社員が入りやすくする、壁をガラス張りにして中が見えるようにする、などの工夫が要るでしょう。
3:社員との間に距離が生まれる
社長室があるオフィスは社長室がないオフィスと比較すると、社員との間に精神的な距離が生まれてしまうことがあります。
社長室はオフィスの奥や社員とは別の階に作られていたり、壁で仕切られていたりすることが多いため、この「物理的な距離」が「精神的な距離」に変わってしまう可能性があります。
社長室を作るときには社長室の壁をガラス張りにするなど、社員との間の距離をなくす方策が必要でしょう。
社長室のデザイン事例9選
社長室を作るときは、業種や企業コンセプトなどを土台にして、どのような印象を与えるか、閉鎖的にならないかを考えてデザインしていきます。建物のどの位置に配置するか、天井や壁はどのような色や模様にするか、調度品は何を揃えればよいかなど、様々な要素があります。
ここでは不動産業を中心に9社の社長室の例を見ていきましょう。
1:株式会社YCMリアルエステートインターナショナル
YCMリアルエステートインターナショナル社は東京都港区にある不動産業者です。
YCMリアルエステートインターナショナル社の社長室の特徴は壁がほぼガラス張りになっていることです。内装の天井と床、そしてデスクと応接テーブルは木目を生かしたもので統一されたデザインになっています。
また、神棚が祀ってあるのも「不動産業らしさ」が出ています。
2:日本ジェネティクス株式会社
日本ジェネティクス社は東京都文京区にある、研究用機材、実験用資材のメーカーです。
社長室は建物の窓側に接していて壁もガラス張りになっているため、視覚的な隔たりがなく開放感があります。
内装は、壁と天井が白の基調、そして床のカーペットが黒になっていて、コントラストがとれています。調度品は社長の執務用デスクと8人掛けの会議用テーブルで、社長の執務と打ち合わせや会議をこのスペースで賄えるようになっているようです。
3:アイピック株式会社
アイピック社は東京都千代田区に本社があり、主にパーテーションなどの施工工事を請け負っています。
アイピック社の社長室は執務室と応接室を兼ねています。壁は黒、木目調、黄土色を組み合わせ、そして調度品は必要最小限のもののみで落ち着きのある雰囲気のデザインになっています。また、壁の一部はガラス張りになっていて、閉鎖感を軽減しています。
4:株式会社ランドパワー
ランドパワー社は東京都中央区で不動産を営んでいます。
社長室と応接室が縦長の格子状の壁で仕切られていて、応接室を通らないと社長室へ入れない構造になっています。壁が格子状になっているのは、同社のキーワードの「明るく風通しの良い環境」を体現したものです。
色はライトブラウンとアイボリーを基調にしていて、要所にターコイズブルーを入れることで「自然」を印象付けています。
5:株式会社加賀設備
加賀設備社は東京都西東京市でマンション、ビル、学校、病院、ホテルなどの給排水衛生設備や空気調和設備の工事を請け負っています。
加賀設備社の社長室は建物の窓側に面していて開放感があります。デスクは木目調のごく一般的なものです。
「ビルなどの設備の工事」と聞くと工務店を連想しますが、加賀設備社の事務所内はデザイン事務所を彷彿とするデザインになっています。
6:株式会社JDスクエア
JDスクエア社は大阪で不動産業を営んでいます。
JDスクエア社のコンセプトは「シックでゴージャス」です。黒やダークブラウンなどを基調とした暗めの色で、また、調度品などのデザインを統一して落ち着いた感じを出しています。
壁の一面が窓になっていることと天井を白にすることで、暗めの色調でも室内の暗さを感じさせません。
7:株式会社翔栄クリエイト
翔栄クリエイト社は東京都新宿区にあるデザイン事務所です。
翔栄クリエイト社では「子どもはリビングで家族と会話した方が思考力や記憶力を高められる」という考えから、社長室には執務用のデスクがありません。社長の執務は会議用のテーブルを使い、「自宅のリビングで仕事をしている」ような空間になっています。
8:株式会社イーナ
イーナ社は東京と大阪に拠点を置き、リスティング広告やSNS広告運用代行をしています。
イーナ社のコンセプトは「ポップで明るいオフィス」です。このコンセプトから、社長室の床材や壁の随所に鮮やかな何色ものビタミンカラーなどを使うことで「前向き、元気、楽しさ」を演出しています。
また、社長室の調度品を少なくすることで床や壁の「賑やかさ」を強調しています。
9:株式会社ユナイテッドエージェント
ユナイテッドエージェント社は東京都港区にある広告代理店です。
企業のコンセプトの「クリエイティブな仕事をするにはオフィスもクリエイティビティーに溢れた空間であるべき」から、事務所の内装全体をカフェのような空間にして、また社長室の壁をガラス張りにして閉鎖感を和らげています。
また、社長室のデスクマットと応接椅子にオレンジ色を「差し色」のように入れて変化を出しています。
社長室のデザインを考えるポイント7つ
社長室をデザインするときにはいくつかのポイントがあります。
まず、社長室をフロアのどの位置に配置するか、です。そして「社長室全体をどのような雰囲気にするか」から、インテリアや調達品などを考えていきます。
また、社員とのコミュニケーションが取りやすくする工夫や閉鎖感を軽減する方法、応接室として使うときのことを考える、などの要素も必要でしょう。
1:インテリアの選び方
社長室は社員から見ると特別な場所であり、また、企業の代表者として取引先との商談の場でもあります。
社長室という空間のデザイン、そして壁紙の生地や色などのインテリア、机や椅子などの家具、サイドボードなどの調度品をどのように揃えるかなど、様々な要素にこだわることで、企業活動にとってプラスに働くようになるでしょう。
2:視覚的な閉塞感を取り払う
社長室をデザインするときに、広い空間でデザインしても壁の色や調度品の配置などで視覚的に「狭い」と感じることがあります。
視覚的な狭さを解消する工夫として、ガラス製の壁で仕切る、家具や調度品の色や配置を考える、などがあります。
最近では社員の執務スペースとの空間の隔たりが気にならない社長室のデザインも出ているようです。
3:応接室としての機能性があるレイアウトにする
企業によっては社長室を応接室として使うことがあります。社長室を応接室としても使うのであれば、「対外イメージ」を考えてデザインしていきます。
一般的には社長室の家具や調度品は「高級感」がキーワードになりますが、高級品を揃える必要はないようです。高級品でなくても統一感を出すことで高級感を演出し、また企業イメージを出していけるでしょう。
4:執務スペースとのギャップをつくる
社長室は「社員が執務する場所を分ける」という意味もあります。社長「室」という独立した部屋でなくても、パーテーションなどで空間を分けることもあるでしょう。
社長室と社員が執務する場所の間に「明確な違い」を作ることで「社長が執務するのは特別な場所」という雰囲気を出すと良いでしょう。
また、社長室の壁をガラス張りにする、ドアを開けておくなど、閉鎖的にならないような工夫が要るでしょう。
5:経営戦略の策定を促すような設計にする
社長の業務の一つに経営戦略があります。経営戦略を考えるときは、「ひとりになれる環境でじっくり考えたい」、「社員から考えや意見を集めたい」など社長によって様々です。
どのような業種や業態か、また社長が経営戦略をどのように考えているかも、社長室をデザインする要素として必要になるでしょう。
6:社長と社員のコミュニケーションの質が高まるような設計にする
社長室のデザインによっては社長と社員との間に「精神的な壁」ができてしまうこともあります。
社長室という独特の空間を作るときはパーテーションを使って「物理的な壁」を作らないという方法があります。また、ガラス製の壁で社員との隔たりを意識させないこともできるでしょう。
社員が気軽にコミュニケーションをとれるような社長室のレイアウトやデザインをしていくことが必要でしょう。
7:社長自身の趣味嗜好は考慮すべき?
社長室は社長の執務、社員とのコミュニケーション、取引先との交渉など、企業を運営する際の様々な活動の場です。ここに業務に関係のない物が並んでいると、企業イメージが悪くなる、社員の信頼を失うなど、マイナスの要素になりかねません。
社長室は社長のプライベートルームではないため、業務に関係のないものや社長自身の趣味嗜好は控えるべきでしょう。
社長室のデザインを考えよう
社長室を作るときは様々な要素を組み合わせてデザインする必要があります。
自社の業種などの要素を基にフロアのどこに配置するか、またどのような雰囲気にするかを基にレイアウト、調達品、インテリアを考えていきます。
さらに、社長室があるときのメリットとデメリットを考え、デメリットを解消、または軽くする方策も必要でしょう。
社長室がうまく機能するようにデザインを考えていきましょう。