レンタルオフィスの現状とは?選ぶポイントやメリット・デメリットを紹介

中村 優文(Masanori Nakamura)

目次

  1. レンタルオフィスの現状とは?
  2. レンタルオフィスのメリット4つ
  3. レンタルオフィスのデメリット3つ
  4. レンタルオフィスに向いている企業とは?
  5. レンタルオフィスを選ぶポイント6つ
  6. レンタルオフィスの利用はよく検討しよう

レンタルオフィスの現状とは?

レンタルオフィスの現状として、ビジネスニーズの多様化とともにますます拡大すると予測されています。


レンタルオフィスとは、インターネット回線やデスクなどビジネスに必要な環境がすべて整っており、すぐに利用できるオフィスの事です。


少し前までは、レンタルオフィスといえば初期費用が抑えられ、小規模企業、ベンチャー企業が多く利用するイメージがありました。しかし現在、企業の多様化に伴いレンタルオフィスの多様化も進み、グローバル企業、大手企業の利用目的にも需要と供給が拡大してきています。

レンタルオフィスとコワーキングスペースの違いとは

レンタルオフィスやシェアオフィスとは、フレキシブルオフィスの一つです。フレキシブルオフィスとは一般的オフィスを借りるよりも手続きがスムーズで、契約期間を短めに設定したり、費用を最小限に抑えることができます。


レンタルオフィスは、半個室か個室か選べ個々の専用スペースを持つ事が大きな特徴です。一方、コワーキングスペースとは利用者同士の交流やコミュニティを重視している点から、多様なアイデアをもった利用者と自然に交じり合う仕組みが出来ている事が特徴です。


例えば空間設計だけでなく、交流できるイベントなども企画、開催されるなど異業種交流も深まる事から、近年では大企業によるコワーキングスペースの利用が増加傾向にあります。

項目スペース利用人数利用料金共益費
レンタルオフィス個室(半個室)1人~月額制・時間制 有・無
コワーキングスペース共有1人~月額制・時間制 有・無

バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスとは、バーチャル=「仮想」のオフィス=「事務所」です。基本的な利用ニーズとしては、事業上の住所を利用する目的があげられます。


リモート勤務も増えてオフィスへ足を運ぶ事が減ってきた現代、スペースの利用ニーズが特に必要ないという方も増えてきています。しかしながら、事業を行っていく上で住所は法人でも個人事業主でも必要になってきます。


そういった方の為に住所を提供するのがバーチャルオフィスのサービスとなります。郵送物なども受け取ってくれますが、どのように処理してくれるかは場所によってバラバラの為、チェックが必要です。


また、住所を借りる上で注意が必要な点として、過去にトラブルが起きた住所ではないか、相手に悪い印象、怪しい印象を与えていないか、という点も考え確認しておく必要があります。

レンタルオフィスのメリット4つ

レンタルオフィスは年々増え続け、比例して利用者も増えています。と言うのも、レンタルオフィスはそれなりにメリットがあるからです。通常の貸しオフィスと比べ何がメリットなのか、4つの事例をあげていきます。

1:許認可取得ができる

ビジネスを始める際、事業の種類によっては事前に役所などに許可や届出といった、許認可申請が必要な場合があります。


コワーキングスペースやシェアオフィスとは違い、レンタルオフィスでは自分専用の個室を持つ事ができる為、許認可取得がしやすいという点もメリットになります。

2:少しでも早く事業開始ができる

オフィスを立ち上げる際、ビジネスに必要なインフラを整備する場合最低でも1ヶ月以上かかると言われています。こうした設備を一から準備すると費用や時間、労力がかかってしまいます。


しかし、レンタルオフィスにはビジネスに必要な機材や設備があらかじめ備わっている為、契約後すぐに事業を始める事が可能です。事業を早くスタートする事でその分売上も上げられる可能性があり、さらに資金に余裕も出てくるといったメリットがあります。

3:気軽に部屋サイズの変更ができる

レンタルオフィスには、1名用から数十名用まで複数のサイズの個室や半個室の部屋があり、人員の増減に合わせて部屋の変更が可能です。例えば、事業展開によって従業員が増えた時でも、住所を変えずに事業を継続できるという事はレンタルオフィスの大きな魅力です。


通常であれば、年間契約の賃貸オフィスの場合だと住所変更の登記変更料などコストもかかってしまう為、気軽に部屋の変更が出来るという事はコスト削減にも繋がってきます。

4:コストが抑えられる

レンタルオフィスの場合、オフィス開設時の初期費用と月々のランニングコストが抑えられ、一等地でも低価格で借りる事が出来ます。


通常、賃貸オフィスの場合ですと、敷金や礼金、保証金など初期費用の負担が大きいですが、レンタルオフィスの場合、敷金や礼金不要、保証金も低価格で借りられる為、初期コストを抑える事が出来ます。


また、光熱費や管理費、メンテナンス費等、通常は月々にかかるランニングコストも抑える事が出来ます。さらに、レンタルオフィスには、デスク等業務に必要な環境が最初から整っている為、こうしたイニシャルコストとランニングコスト両面の節約に繋がります。

レンタルオフィスのデメリット3つ

レンタルオフィスのメリットをお伝えしましたが、反対に注意しておかなければいけない点もいくつかあります。事前にデメリットを知っておく事でより良いレンタルオフィス選びに繋がります。

1:共有スペースの自由な利用が難しい

レンタルオフィスでは、個室を利用出来る定員が定められており、定員を超える人数で会議や来客対応等を行う際は、会議室等の共有スペースを利用する事になります。


しかし、共有スペースは予約制となっている事が多く、自由に使用出来ないという所が難点です。もし、来客等が多い方は、事前に共有スペースが十分に確保出来そうな場所か、という所も確認しておく事をおすすめします。

2:長い目で見ると割高になる

レンタルオフィスのメリットとして、イニシャルコストやランニングコストが抑えられる一方、会議室や秘書サービス等、オプションを追加していけば高額になる可能性もあります。


将来的に利用したい内容を明確にし、費用を見積もっておかなければ長期的に見た時に割高になる可能性も出てきます。その為長期で借りる場合には、自分のビジネススタイルに合っているのか明確にする事と、同じ地域の貸事務所の家賃等と比較する事がおすすめです。

3:思いのほか活用しないことが多い

個室タイプを利用しても完全に周囲の音を遮断することは難しく、また、共有で利用可能な会議室等も予約制になっているレンタルオフィスが多い為、使いたい時間に使えないこともあります。こういったデメリットも頭に入れて本当に借りる意味があるのか考えましょう。

レンタルオフィスに向いている企業とは?

レンタルオフィスとは、どのような方に向いているのでしょうか。様々な人とコミュニケーションが取れたり初期費用が抑えられたりするという面で、1人又は少人数で起業したばかりの人におすすめです。


しかし最近では大手企業の利用も増えており、営業所や支店を必要としている企業、一時的なプロジェクトの為や本社とは別にワークスペースを確保したいという企業、事務所には常駐しないが、皆が集まって会議など出来るスペースが欲しい企業にも向いています。

レンタルオフィスを選ぶポイント6つ

レンタルオフィスを決める際、固定費は安い方が良いですが、料金だけで決めるのは注意が必要です。そこで、失敗しない為のレンタルオフィスを選ぶ際のポイントを6つご紹介します。

1:共益費の有無

共益費とは、利用する設備や施設の運営および維持するために要する家賃とは別に毎月支払う費用です。共益費がレンタルオフィスの月額料金に含まれているかは場所によって異なります。


コストを比較する際は、初期費用の安さだけではなく、こうしたランニングコストを加味して選ぶ事も重要となってきます。

2:立地の良さ

レンタルオフィスを選ぶ上で、アクセスに便利な場所であるという事も重要なポイントになります。せっかくコストを抑えていてもアクセスが悪く不便な場所では非効率的になってしまいます。


クライアントや顧客にオフィスに足を運んでもらいやすく、一等地に構える事は会社の印象も良くします。


また、周辺地域に同業種が多ければ情報も集まりやすいため、周辺エリアをチェックする事もポイントです。

3:部屋のタイプを確認する

レンタルオフィスの標準は専用個室タイプになり、ビジネス用品の備え付けやインターネットが無料で使えるサービスが付いていますが、中には半個室タイプもある為、確認しておく必要があります。


部屋の大きさは1名の個室タイプから数名で利用可能な大型タイプまであり、用途に合わせて選ぶことができます。


各レンタルオフィスによる大きな違いと言えば、受付サービスの有無(人の有無)、会議室の有無などです。


また、月額制だけではなく時間貸しタイプのレンタルオフィスもあり、個室やブースを専用で使用出来るオフィスから、一つのブースを数名でシェアするタイプ等場所によって異なる為、自分の目的、用途に合わせたレンタルオフィスを選ぶ事が大切です。

4:サービス内容

サービス内容、利用料金は場所によって様々です。受付対応、高速インターネット、清掃、完全無料で会議室が使える等、サービス内容が充実している場所もあれば、別途費用がかかるレンタルオフィスもあります。


「月額料金に含まれているサービス」「オプションで利用可能なサービス」などを確認し、比較検討してみると良いでしょう。不要なサービスが月額料金に含まれていると割高になってしまう為、必要なサービスが揃っているオフィスの選択がベストです。

5:空調完備や費用

レンタルオフィスを決める際、内覧に行き、忘れてはいけないのが空調が備わっているかどうかです。


また、空調設備の運転時間を確認します。例えば営業時間が23時までだった場合、22時の時点でぱったり空調が消えてしまう所も中にはあります。空調設備そのものがビルの方で管理されていたり、設備担当の人の退社する時間で電源をオフにされてしまったりするケースもあります。


さらに空調設備の操作が手動で行われているのか、それとも自動で行われているのかというのも確認しておくべき点です。手動の場合、利用者が簡単に動かせてしまう場合だとトラブルの原因になる事も稀に見られます。


空調の費用もレンタル料金に入っている場合と別途かかる場合がある為、費用も確認が必要です。


空調設備の確認は忘れがちですが、体調管理の為にも確認しておいた方が良い項目です。

6:法人登記に費用がかかるかの把握

レンタルオフィスの住所で法人登記する事は可能ですが、その際に費用がかかってしまう可能性があるという事も頭に入れておきましょう。


レンタルオフィスを運営している会社では、新興のものも多いです。事業者が廃業する可能性もある事を頭に入れておかなければいけません。万が一、移転する事になってしまった場合、税金を3~6万円程度支払う必要があります。


レンタルオフィスで法人登記するにあたり、運営会社の経営状態等も確認し、信頼できるか見極める事も大切です。

レンタルオフィスの利用はよく検討しよう

レンタルオフィスの利用は営業の際にも非常に有意義な活用メリットがあります。


更に、将来的に事業拡大を視野に入れている企業にとっては、使い勝手も良くコスト削減にも繋がります。メリット、デメリットをそれぞれ把握し、利用する際は各レンタルオフィスの条件などを比較して検討しましょう。

監修

執筆者
中村 優文(Masanori Nakamura)
経歴
早稲田大学大学院卒業。大学院時代では未踏スーパークリエータに認定される。その後、三菱地所に入社し物流施設のアセットマネジメントや営業に従事。 不動産業界の知見とエンジニアリングの知見両方を持ち合わせており、estie proのプロダクトマネジャーとして活躍。 フットワーク軽く社内イベントをよく開催する。
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