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野村不HD、新中期計画で事業利益1,600億円目標 ー 売上高は最終年度に1兆円規模視野

野村不動産ホールディングスは、2028年3月期に事業利益1,600億円を目指す新たな中期経営計画(26/3〜28/3期)を発表した。前計画で設定していた同年の目標1,400億円を上回る水準となり、年平均8%超の増益ペースを維持する意欲的な内容となっている。売上高は2026年3月期に9,400億円超を目指すことから、最終年度には1兆円規模になることが予想され、成長軌道をより確かなものとする方針だ。

同社が公表したプレゼン資料によると、前中期計画(2023年3月期〜2025年3月期)で掲げた最終年度の数値目標はすべて達成された。前計画では2025年3月期の事業利益目標1,150億円(ROE9%水準)に対し、実績は1,251億円(ROE10.4%)と上回っている。

次の3カ年計画では、住宅とオフィスを基幹事業として引き続き重視しつつ、物流施設や海外事業を「成長事業」として積極展開する戦略を掲げた。総投資額は今後3年間で2兆500億円を見込み、資産回転効率の向上も並行して進める。今回発表された中期経営計画で特に注目されるのは、住宅、物流、海外の3領域だ。

  • 住宅

    • 住宅分野では、分譲マンション「プラウド」を軸に約1兆円を投資。これは同社の投資枠全体の約半分を占める。

    • 事業利益は2025年3月期の487億円から2028年3月期には630億円へと伸び、年平均成長率(CAGR)は約8.9%を見込む。利益増加額では全セグメント中最大となり、引き続きグループ成長を牽引する。

  • 物流

    • 物流施設分野には約3,000億円を投資予定。

    • 物流市場は現在1都3県で空室率が上昇傾向にあるが、首都圏だけでなく地方主要都市にも展開し、Eコマースの拡大に対応したマルチテナント型施設の開発を推進する。利益成長額の絶対値は住宅・オフィスに劣るものの、中長期的にストック型収益の拡大が期待される領域だ。

  • 海外

    • 海外事業では約2,000億円を投資し、アジアや北米、欧州における住宅・賃貸住宅開発を加速する。

    • 事業利益は2025年3月期の66億円から110億円へと約1.7倍に成長する見込みで、CAGRは18%と全セグメント中最も高い。特に安定需要が見込まれる米国賃貸市場への参入拡大に注力する構えだ。

セグメント

2025年3月期 実績

2028年3月期 目標

CAGR (3年)

住宅

487

630

+ 8.96%

都市開発

416

520

+ 7.72%

海外

66

110

+ 18.56%

資産運用

98

130

+ 9.88%

仲介・CRE

165

200

+ 6.62%

運営管理

119

110

△ 2.59%

その他・調整額

△102

△100

合計

1,251

1,600

+ 8.55%

今回の計画は、国内住宅・オフィスを盤石にしながら、成長分野にリスクを分散して収益基盤を厚くする戦略が特徴的だ。中でも住宅事業の拡大と海外事業の高成長を軸に、野村不HDは2030年以降を見据えた持続的成長基盤の構築を加速させる方針である。

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