有楽町の新築店舗ビルを売却、大和ハウス工業
大和ハウス工業は2025年2月、千代田区有楽町の新築店舗ビル「SIL有楽町」を台湾系の欣鎰立(きんいりつ)へ売却した。売買価格は非公表だが、彰化商業銀行東京支店を根抵当権者とする極度額70億800万円の根抵当権が設定されており、取引規模は数十億円規模と推定される。
対象物件はJR「有楽町」駅徒歩3分の角地に立地し、東京ミッドタウン日比谷にほど近いJR線高架下の飲食集積ゾーンに位置する。地上9階建・基準階約66坪の飲食店舗専用ビルであり、現在も空きフロアは存在するが、下層階を中心に飲食リーシングが進んでおり、訪日客の増加やナイトタイムエコノミーの拡大を背景に、高い集客力が期待される。現在テナントには個室和食居酒屋やダーツバーなどが入居している。
大和ハウス工業は第7次中期経営計画(2022〜2026年度)で「ポートフォリオの最適化による資本効率向上」を掲げ、5年間で総額約2.2兆円の不動産開発投資を行いながら、開発・再生した資産を機動的に売却してキャッシュを循環させる方針だ。2021 年 からはオフィスや賃貸マンションなどの既存不動産を取得し、市場ニーズに最適化させるリニューアルを行った後、投資用不動産として売却する「D'sVARIE」も展開を開始した。 本件も竣工から1年未満でのエグジットとなり、同社の資産循環モデルを象徴する案件だ。
買主の欣鎰立は台湾系のディベロッパーで、昨今は東京中心部の駅前立地を着実に買い増している。本件もファイナンスでは台湾の彰化商業銀行がローン供給し、クロスボーダー資金が都心アセットへ流入する象徴的な取引と言える。
物件概要
物件名称:SIL有楽町(千代田区有楽町二丁目プロジェクト)
買主:欣鎰立株式会社
売主:大和ハウス工業株式会社
取引価格:非公表(根抵当権極度額70億800万円)
所在地:東京都千代田区有楽町2-3-2
最寄駅:JR「有楽町」駅徒歩3分/東京メトロ「日比谷」駅徒歩3分
竣工年月:2024年5月
規模:鉄骨造地上9階
面積:延床面積約638.28坪