サービスログイン

estie
estie

「界 阿蘇」を売却、星野リゾート・リート投資法人

星野リゾート・リート投資法人は2025年5月1日付で、大分県玖珠郡に立地する温泉旅館「界 阿蘇」を株式会社NBI地方創生インベストメント(東京都港区)へ売却する。譲渡予定価格は774百万円で、売却益は159百万円程度となる見込みだ。 本投資法人による同ブランドの売却は 「界 川治」に続く2件目である。「界 川治」は2024年5月に大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツに売却された後に「界」としての営業が終了、改装工事が施され「TAOYA 川治」として今年2月にリニューアルオープンしている。

今回売却される物件は阿蘇くじゅう国立公園の麓、瀬ノ本高原に位置する全12室の一戸建て(ヴィラタイプ)旅館であり、全部屋に露天風呂を備える。延床面積は1,554.50㎡で鉄筋コンクリート・木造2階建て。約2.7万㎡に及ぶ広大な敷地内に客室棟や温泉施設を分散配置し、阿蘇五岳を望む景観とプライベート感を両立させた設計が特徴だ。2006年竣工後、星野リゾートが「界」ブランドとして運営し、インバウンド需要や富裕層の国内旅行需要を取り込んできた。​​

本物件は星野リゾート・マネジメントが一括で賃借しており、賃料は固定+施設利益連動を組み合わせたストラクチャであることから、空室リスクは一定程度に抑えられてきた。以下は星野リゾート・リート投資法人による本物件取得後のNOIおよび鑑定Cap Rate変遷だが、2016年の熊本地震および2020年のコロナ禍を除いて物件収益は安定して推移。2024年(1月~10月)はADRが78,906円、平均稼働率96%程度であり、RevPARは75,609円と現在も高水準を維持している。

界 阿蘇

引き続き安定した稼働が見込めるように思えるが、売り主である星野リゾート・リート投資法人は、ポートフォリオの競争力維持と投資主価値向上を目的に、昨今資産入替えを進めている。本物件は「界」シリーズの中でも客室数が少なく、今後の競争力を保つうえで資本的支出効率が課題となる小規模物件であった。 今回本物件を売却することにより含み益を顕在化させ、同時発表の「コンフォートイン新潟亀田」取得(422百万円)へ資金を振り向けることで、外部成長と分配金原資の確保を図る狙いだ。​​

買い手のNBI地方創生インベストメントは、地方創生を掲げて2024年に設立された新興投資会社であり、経営陣には星野リゾートグループ出身者が複数名在籍する。今回取得した「界 阿蘇」は地域観光資源と捉えた長期保有戦略を想定しているとみられ、同社は一定期間保有した後に改装工事を実施し、更なるバリューアップを図る見立てだ。 同社は本件の他にも、2027年3月期までに全国のホテル・旅館等へ200億円の投資を行っていくと発表している。​​

物件概要

  • 物件名称:界 阿蘇

  • 買主:株式会社NBI地方創生インベストメント

  • 売主:星野リゾート・リート投資法人

  • 取引価格:774百万円(予定)

  • 所在地:大分県玖珠郡九重町大字湯坪628‑6

  • アクセス:黒川温泉バス停より車で約10分、熊本空港より車で約70分

  • 竣工年月:2006年4月

  • 規模:鉄筋コンクリート・木造2階建、全12室

  • 面積:延床面積1,554.50㎡/敷地面積26,754.67㎡ ​

estie 不動産情報ポータルへの記事掲載をご希望の方はお問い合わせください。